(最終更新日: 2025年12月03日)
「DifyでPythonを使いたいのに、関数の書き方や外部連携があいまいで手が止まる…」と感じていませんか?
本記事は、実務でのつまずきを解消し、迷わず動かせる状態にするための2025年版ガイドです。
どこでPythonを挟むか、関数名や引数の決め方、外部APIや社内DBとのつなぎ方を、動く例とともにやさしく整理します。
さらに、動かない時のチェックリスト、ログの見方、無料/有料プランでの実行環境の違いも一目で分かります。
記事の流れが分かるように、使いどころ、基本の作法、サンプル、原因の探し方、外から呼ぶ方法、守りの考え方、プラン選びまで順に解説します。
内容は最新仕様を確認し、現場での検証を踏まえた実用目線でまとめています。
今日からあなたのワークフローに、ムダなくPython処理を組み込めるようになりましょう。
DifyでPythonが活躍する代表的な3パターンとユースケース像
当セクションでは、DifyでPythonが活躍する代表的な3パターンと各ユースケースを整理します。
なぜなら、LLMの創造性とPythonの厳密性をどこに分担するかで、設計のシンプルさと運用の安定性が大きく変わるからです。
- パターン1:ワークフロー内のCodeノードで「前処理・後処理・判定ロジック」を書く
- パターン2:HTTPリクエストノード+Codeノードで外部APIや社内システムと連携する
- パターン3:PythonアプリからDify APIを叩く「Headless利用」
- どのパターンをいつ使うか:判断の目安
パターン1:ワークフロー内のCodeノードで「前処理・後処理・判定ロジック」を書く
最もよく使う設計は、Codeノードに前処理・後処理・判定ロジックを集約し、「プロンプトは薄く、ロジックはPythonに寄せる」ことです。
LLMは創造性に強い一方で厳密な正規表現や数値計算は苦手なため、Pythonに寄せることで品質と再現性が高まります。
DifyのCodeノードはmain関数で入出力を明示でき、If/Else分岐と相性が良い設計になっています(参考: Code – Dify Docs)。
前処理では正規表現クリーニングや数値集計、JSON整形を担い、後処理では体裁整形やスコアリング、閾値判定で回答の採否を制御します。
監査要件やKPIに敏感な業務では、計算・ルールをPythonに置くとユニットテストが容易になり、保守コストも下がります。
下図の3分類(前処理/後処理/判定)を意識すると、役割分担が明確になり保守が容易になります。
パターン2:HTTPリクエストノード+Codeノードで外部APIや社内システムと連携する
SaaS版ではCodeノードの直接通信が制約されるため、外部APIはHTTPリクエストノードで取得し、Codeノードで検証・整形する構成が安全で定石です。
これはサンドボックスのネットワーク分離やSSRF対策の設計思想に沿っており、本番でも扱いやすいパターンです(参考: Code Execution | Dify)。
たとえばCRMやスプレッドシート、在庫DBからのJSONをHTTPノードで取得し、Codeノードでスキーマ検証とマッピングを行ってLLMノードに渡せます。
RAGの前処理として、検索クエリ拡張やフィールド正規化を挟むと精度と説明責任の両立に寄与します。
下図の典型構成を押さえると、障害切り分けや監査ログの読み解きが容易になります。
各ノードの設計やハマりどころは、詳解した【2025年版】Dify Workflow完全ガイドも参照すると理解が深まります。
パターン3:PythonアプリからDify APIを叩く「Headless利用」
既存のPythonスクリプトやWebアプリからDifyをAPIで呼び出すヘッドレス利用は、Difyを“AIバックエンド”として再利用する最短ルートです。
チャットアプリやワークフロー実行をAPI一発で組み込めるため、バッチやNotebook、社内SaaSにシームレス統合できます(参考: dify-client-python – PyPI)。
以下のように最小コードで呼び出せます。
# pip install dify-client-python
from dify_client import ChatClient
client = ChatClient(api_key="YOUR_API_KEY", base_url="https://api.dify.ai")
res = client.chat_messages.create(
app_id="YOUR_APP_ID",
inputs={"question": "在庫サマリーを生成して"},
user="batch-bot"
)
print(res.answer)
この方式なら、夜間バッチでRAGやレポート生成を任せ、アプリ側は結果の保存と通知だけに集中できます。
エンドポイントや課金の扱いはDify API完全ガイドで整理しておくと安心です。
どのパターンをいつ使うか:判断の目安
基本は「Dify内で完結できる処理は中で」、既存システムの制約が強い部分は「Difyを外から呼ぶ」という分担が設計を最もシンプルにします。
PoCではCodeノード中心で素早く組み上げ、スケール段階でHeadlessに切り分けるとSLAや監査要件への対応が容易になります。
実務でも、当初は前処理・後処理・判定をすべてDify内に置き、後に監査要件の強いロジックだけPythonマイクロサービス化してAPI越しに分離する移行が有効でした。
RAGやエージェントを多用する場合は、まずはDify×RAG完全ガイドやDify Agent完全ガイドで内部完結の限界点を把握すると判断が速くなります。
社内スキル強化にはオンライン学習も役立つため、必要に応じてDMM 生成AI CAMPなどで標準化された活用法を学ぶと移行時の失敗が減ります。
この方針に従えば、要件変化に強く、コストとガバナンスを両立した運用に近づきます。
【まずここから】DifyのPythonコードノードの基本仕様と作法
当セクションでは、DifyのPythonコードノードで守るべき基本仕様と実装の作法を体系的に解説します。
なぜなら、最初に設計を正しく押さえないと、入出力の連携やデバッグで大きな手戻りが発生しやすいからです。
- DifyのPythonコードブロックでは関数をどう定義すればいい?(main必須の理由)
- UIで定義した入力変数をPythonに渡す方法:引数名を一致させる
- 戻り値dictの設計:後続ノードで扱いやすいキー名を付ける
- よく使う型と標準ライブラリ:文字列、リスト、JSON、日時
DifyのPythonコードブロックでは関数をどう定義すればいい?(main必須の理由)
結論は「def main(…)->dict を1つだけ定義し、その戻り値のdictがノード出力になる」ことです。
理由は、Difyのサンドボックス実行環境がエントリーポイントとしてmainのみを呼び出す設計になっているためです。
戻り値は必ず辞書型に統一し、各キーがそのまま後続ノードで参照される出力変数名として使われます(参考: Code – Dify Docs)。
以下は最小サンプルで、引数なし・固定文字列を返す例です。
# 最小のCodeノード実装例(引数なし)
def main() -> dict:
message = "Hello from Code Node"
return {"greeting": message}
実務ではエントリーポイント名を変えたり戻り値を非辞書にすると未実行・型エラーになるため、mainとdictの原則を徹底すると安全です。
UIで定義した入力変数をPythonに渡す方法:引数名を一致させる
結論として、UIでバインドした入力名とmainの引数名を完全一致させるのが正解です。
理由は、ワークフローの入力欄に割り当てた変数名が、そのままmainの引数名としてサンドボックスから渡される仕様だからです。
例えばUIでinput_textというフィールドを作ったら、Python側はdef main(input_text: str)のように書きます。
# UIの入力名: input_text
# Python側も同名を使用する
def main(input_text: str) -> dict:
return {"clean_text": input_text.strip()}
名前がズレるとNoneが渡ったりKeyErrorの原因になるため、「フロー保存時にUIとシグネチャをセットで確認する」習慣を作ると堅牢です(関連: 【図解】Difyの変数を完全理解)。
次の図は、inputText(UI)とinput_text(Python)の不一致を修正する例です。
戻り値dictの設計:後続ノードで扱いやすいキー名を付ける
要点は、後続ノードで参照しやすい英小文字スネークケースのキーを設計し、成功・失敗で同一スキーマを返すことです。
理由は、node_id.keyで参照する際に短く明快なキーほど保守性が高く、Ifノードの分岐やモニタリングが安定するからです。
例として、statusとpayloadを固定し、エラー時はerror_msgに例外文字列を入れる構成を推奨します。
# 成功/失敗で同じスキーマを返すベストプラクティス
def main(text: str) -> dict:
try:
clean = text.strip()
score = len(clean)
return {
"status": "success",
"payload": {"clean_text": clean, "score": score},
"error_msg": None,
}
except Exception as e:
return {
"status": "error",
"payload": None,
"error_msg": str(e),
}
この形に揃えておくと、Ifノードでstatus == “success”かどうかで簡潔に分岐でき、後続のLLMノードにもpayloadだけを安全に渡せます。
よく使う型と標準ライブラリ:文字列、リスト、JSON、日時
結論として、DifyはJSONシリアライズ可能な型を期待するため、datetimeはISO文字列などに変換して返すのが無難です。
理由は、サンドボックスでは標準ライブラリ(json、re、datetime等)が主役で、未対応型をそのまま返すとシリアライズ例外になるからです。
また、SaaSでは外部通信に制約があるためHTTP連携は専用ノードの利用が推奨されます(参考: Code Execution | Dify、Code – Dify Docs)。
LLMノードに渡すプロンプトはPython側でMarkdown整形しておくと扱いやすく、日付もISO化しておくと確実です。
from datetime import datetime
def main(title: str, bullets: list) -> dict:
now = datetime.utcnow().isoformat() + "Z"
md = f"""# {title}\n\n- 生成日時: {now}\n\n## 要点\n""" + "\n".join([f"- {b}" for b in bullets])
return {
"prompt_markdown": md,
"generated_at": now,
}
型変換とテキスト整形をコード側で完結させることで、ワークフロー全体の再現性と可読性が高まります。
Python×生成AIの基礎固めを一気に進めたい方は、実務直結のオンライン講座を活用すると効率的です。例えば、学び直しに最適なDMM 生成AI CAMPは、プロンプト設計から業務活用まで体系的に学べます。
実務で使えるDify×Pythonコードサンプル集(前処理・後処理・API連携)
当セクションでは、DifyのCodeノードとPythonを組み合わせて即戦力になるサンプルを前処理・後処理・外部API連携の観点で解説します。
なぜなら、実務ではLLMだけに任せず、厳密なロジックやデータ整形をPythonにオフロードすることで、精度・コスト・ガバナンスを同時に満たせるからです。
- テキスト前処理:ノイズ削除・正規表現クリーニング・長文分割
- 数値計算・スコアリング:LLMに任せたくない厳密なロジックをPythonで担う
- HTTPノードで外部APIを叩き、CodeノードでJSONを整形する例
- 既存のPythonスクリプトをCodeノード向けにリファクタリングする
テキスト前処理:ノイズ削除・正規表現クリーニング・長文分割
LLMに渡す前に機械的な前処理を入れるだけで、精度とコストを同時に底上げできます。
日報やCRMのメモは署名や装飾記号、電話・メールなどの個人情報を含み、トークンの浪費や誤答の温床になりがちです。
Codeノードで不要記号の除去、PIIのマスキング、長文の文末優先分割を行うのが定石です。
以下のサンプルは正規表現でメール・電話をマスキングし、文章境界を尊重してチャンク化します。
返却はclean_textとchunksを辞書で返すので、後段のLLMノードやIterationノードに直結できます(参考: Code – Dify Docs)。
この前処理を標準化すれば、プロンプトを変えずに品質改善が期待できます。
# Codeノード用:テキストのノイズ削除・PIIマスキング・長文分割
import re
from typing import List, Dict
NOISE_PAT = re.compile(r"[\t\u200b\ufeff]+")
SIGNATURE_LINE = re.compile(r"(?im)^(?:--+|Best regards|Kind regards|Sent from my .*|署名[::]).*$")
EMAIL_PAT = re.compile(r"[A-Za-z0-9._%+-]+@[A-Za-z0-9.-]+\.[A-Za-z]{2,}")
PHONE_PAT = re.compile(r"(?:(?:\+?\d{1,3}[\-\s]?)?(?:\(\d+\)[\-\s]?)?\d[\d\-\s]{7,}\d)")
def _clean_noise(text: str) -> str:
text = NOISE_PAT.sub(" ", text)
text = SIGNATURE_LINE.sub("", text)
text = re.sub(r"[■□◆◇★☆※◎▽△•·●○▪︎▶◀️]+", "", text)
text = re.sub(r"[ \t]+", " ", text)
text = re.sub(r"\n{3,}", "\n\n", text)
return text.strip()
def _mask_pii(text: str) -> str:
text = EMAIL_PAT.sub("[EMAIL]", text)
text = PHONE_PAT.sub("[PHONE]", text)
return text
def _chunk_by_sentence(text: str, chunk_size: int = 1200, overlap: int = 0) -> List[str]:
# 文末記号を境界に分割し、サイズ上限で結合
sentences = [s for s in re.split(r"(?<=[。.!?!?])\s*", text) if s]
chunks, buf = [], ""
for s in sentences:
candidate = (buf + ("" if not buf else " ") + s).strip()
if len(candidate) <= chunk_size:
buf = candidate
else:
if buf:
chunks.append(buf)
# それでも長い文は強制分割
while len(s) > chunk_size:
chunks.append(s[:chunk_size])
s = s[chunk_size:]
buf = s
if buf:
chunks.append(buf)
# 必要に応じてオーバーラップ付与
if overlap > 0 and len(chunks) > 1:
with_overlap = []
for i, c in enumerate(chunks):
if i == 0:
with_overlap.append(c)
else:
prev_tail = chunks[i-1][-overlap:]
with_overlap.append((prev_tail + c)[:chunk_size])
chunks = with_overlap
return chunks
def main(text: str, chunk_size: int = 1200) -> Dict:
clean = _clean_noise(text)
masked = _mask_pii(clean)
chunks = _chunk_by_sentence(masked, chunk_size=chunk_size)
return {
"clean_text": masked,
"chunks": chunks,
"chunk_count": len(chunks)
}
数値計算・スコアリング:LLMに任せたくない厳密なロジックをPythonで担う
見積や優先度スコアのような厳密計算は、必ずPythonに実装して再現性を担保します。
LLMは確率的な生成で端数処理や境界条件に弱く、監査対応の説明可能性も残しづらいです。
分類はLLM、スコアはCodeノード、しきい値判定はIfノード、通知はHTTPノードという役割分担が安全です。
以下のサンプルはカテゴリ×重みのdictを使い、分類結果と信頼度から80点以上で通知フラグを返します。
全体像は次のフロー図の通りで、詳細手順はDify Workflow完全ガイドに沿って組むと迷いにくいです(参考: Introducing Dify Workflow – Dify Blog)。
スコアを数式で固定し、LLMは判断だけに絞る設計が現場では堅実です。
# Codeノード用:カテゴリ×重みのスコアリング例
from typing import Dict
WEIGHTS: Dict[str, float] = {
"障害": 2.0,
"請求": 1.2,
"機能要望": 0.8,
"その他": 0.5,
}
THRESHOLD = 80
def main(category: str, confidence: float, base_score: int = 50) -> Dict:
w = WEIGHTS.get(category, 0.5)
score = int(base_score * w * (0.5 + max(0.0, min(confidence, 1.0)) / 2))
priority = "high" if score >= THRESHOLD else "normal"
return {
"score": score,
"priority": priority,
"notify": priority == "high",
}
次の図では、LLMでカテゴリ分類→Codeでスコア→Ifで分岐→HTTPでSlack通知という流れを示します。
HTTPノードで外部APIを叩き、CodeノードでJSONを整形する例
SaaS版では外部API呼び出しをHTTPノードに任せ、CodeノードはJSON整形に専念する構成が実務的です。
サンドボックスはネットワークが制限されるため、セキュリティと運用監査の両面でHTTPノード利用が推奨されます。
例として社内REST APIからチケット一覧を取得し、必要なフィールドだけをMarkdownテーブルに変換します。
設定はGETのURLと認証ヘッダを指定し、レスポンスボディを次のCodeノードへ渡します。
整形コードはjson.loadsで受け取り、不要なキーを捨ててLLMに渡す文字数を最小化します(参考: Developing with APIs – Dify Docs)。
この分離により、セキュアで読みやすいプロンプト用コンテキストが安定して得られます。
HTTPノードの設定イメージは以下の通りです。
# Codeノード用:HTTPノードのレスポンスJSONをMarkdownテーブルに整形
from typing import Dict, List, Any
import json
def to_markdown(items: List[Dict[str, Any]]) -> str:
headers = ["ID", "タイトル", "ステータス", "更新日"]
md = "|" + "|".join(headers) + "|\n" + "|" + "|".join(["---"]*len(headers)) + "|\n"
for it in items:
row = [
str(it.get("id", "-")),
str(it.get("title", it.get("name", "-")))[:80],
str(it.get("status", "-")),
str(it.get("updated_at", it.get("updateTime", "-"))).replace("T", " ").replace("Z", ""),
]
md += "|" + "|".join(row) + "|\n"
return md
def main(response_body: str) -> Dict:
data = json.loads(response_body or "{}")
items = data.get("items") or data.get("values") or data
if isinstance(items, dict):
items = [items]
if not isinstance(items, list):
items = []
table_md = to_markdown(items)
return {"table_md": table_md, "row_count": len(items)}
Difyを外部システムのハブとして使う場合は、APIの全体像も押さえておくと設計が楽になります(参考: Dify API完全ガイド)。
既存のPythonスクリプトをCodeノード向けにリファクタリングする
既存スクリプトは「小さく関数化」し、mainが辞書を返す契約に合わせると移植が一気に進みます。
グローバル状態やprint依存はサンドボックスで再利用が難しく、入力は引数、出力は戻り値に統一する必要があります。
以下のBefore/AfterはCSV整形の例で、状態を引数に寄せて戻り値に集約するだけでワークフロー部品になります。
この形なら単体テストも容易で、他のCodeノードやDify API連携にも横展開が可能です。
私の給与計算スクリプトでも同様に関数化し、外部I/Oを差し替えるだけで再利用できました。
実装力を短期で高めたい方はオンライン講座で手を動かすのが近道です(例: DMM 生成AI CAMP)。
# Before(抜粋):グローバル状態&print依存
import csv
INPUT_PATH = "/path/to/input.csv"
total = 0
with open(INPUT_PATH, newline="", encoding="utf-8") as f:
for row in csv.DictReader(f):
total += float(row["amount"]) * 1.1 # 税込み計算を直書き
print({"total": total}) # ログに混ざりやすい
# After:関数化&mainがdictを返す(Codeノード互換)
from typing import Dict, List
import csv, io
def compute_total(rows: List[Dict[str, str]], tax_rate: float) -> float:
subtotal = 0.0
for r in rows:
amt = float(r.get("amount", 0) or 0)
subtotal += amt * (1.0 + tax_rate)
return round(subtotal, 2)
def main(csv_text: str, tax_rate: float = 0.1) -> Dict:
rows = list(csv.DictReader(io.StringIO(csv_text)))
total = compute_total(rows, tax_rate)
return {"total": total, "row_count": len(rows), "status": "ok"}
Pythonコードが動かないときにチェックすべきポイントとデバッグ術
当セクションでは、DifyのCodeノードでPythonコードが動かないときに確認すべきポイントと、効率的なデバッグ手法を順に解説します。
なぜなら、Difyのサンドボックス実行や関数シグネチャなどの固有ルールを見落とすと、コード自体は正しくても「何も返らない」や「None/型エラー」といったトラブルに直結するからです。
- 関数名がmainになっているか?:最初に見るべき基本チェック
- UI変数と引数の名前・型の不整合:None/型エラーの原因
- 許可されていないライブラリ・外部通信をしていないか?(SaaS版の制約)
- ログ・例外ハンドリングを仕込んで原因を特定する
関数名がmainになっているか?:最初に見るべき基本チェック
最短で原因を切り分けるには、Codeノードのエントリポイントがmain関数になっているかを最初に確認します。
DifyはCodeノードでmainという名前の関数だけを実行する設計であり、関数名が異なる、未定義、インデント崩れなどがあると何も実行されません。
UIでは右側の実行ログやエラーバナーに「No entry function main found」などの痕跡が残るため、まずここを覗くと手戻りを避けられます(参考: Code – Dify Docs)。
例えば誤ってtestという関数名で書いた場合は下記のようになり、実行しても無反応に見えます。
# 誤り例:関数名がmainではない
def test(num: int) -> dict:
return {"x2": num * 2}
関数名をmainへ修正すると、即座に値が返り、以降のノードにも結果が渡ります。
# 正しい例:エントリポイントをmainに統一
def main(num: int) -> dict:
return {"x2": num * 2, "status": "success"}
実行ログの見方が不安な場合は、右ペインのLogタブで最新実行を選び、最初の行に表示される関数解決メッセージを確認します。
以下のスクリーンショットでは、誤り例と修正後の比較を示しています。
UI変数と引数の名前・型の不整合:None/型エラーの原因
Noneや型エラーが出る大半の原因は、UIや前段ノードの変数名・型とmain関数の引数シグネチャがずれていることです。
ワークフロー上部の「変数インスペクタ」を開き、どのノードからどんな型の値が来ているかを実物で確認します。
たとえば前段でordersというlistが出力されているのに、main側をorderやstr型で受けていると、実行時にNoneやTypeErrorが発生します。
この場合はmainの引数名と型ヒントをUI表示に合わせて修正し、再実行して整合性を検証します。
# シグネチャの整合例
def main(orders: list, multiplier: int) -> dict:
processed = [x * multiplier for x in orders]
return {"processed": processed, "status": "success"}
型や受け渡しの基本は公式ドキュメントのサンプルが分かりやすいので、迷ったら参照してください(参考: Code – Dify Docs)。
変数全般の落とし穴は、図解記事も併せて確認すると理解が早まります。
【図解】Difyの変数を完全理解は、命名・型・代入のつまづきポイントの整理に役立ちます。
以下に変数インスペクタのイメージを示します。
許可されていないライブラリ・外部通信をしていないか?(SaaS版の制約)
SaaS版のCodeノードはセキュリティ上の理由で外部通信や一部ライブラリが制限されるため、importエラーやタイムアウトは制約を疑うのが近道です。
requestsなどで外部HTTPを直接呼ぶとブロックされる場合があり、この場合は専用のHTTP Requestノードを使う構成へ切り替えます。
どうしてもPython内で通信や追加ライブラリが必要であれば、セルフホスト環境でDockerイメージに依存関係を追加する方法が現実解です。
このサンドボックスはシステムコールやネットワークを分離して安全性を担保しているため、自由度と引き換えに制限が存在します(参考: DifySandbox Goes Open Source: Secure Execution of Code)。
導入形態ごとのセキュリティと制約は次の記事も整理が役立ちます。
【最新2025年版】Difyのセキュリティ徹底解説と、セルフホストの実装はDifyをDockerでインストールするベストな方法が参考になります。
ログ・例外ハンドリングを仕込んで原因を特定する
try/exceptで例外を捕捉し、statusとerror_msgを返す構造にすると、失敗箇所が一目で分かりIfノードで丁寧に分岐できます。
開発中はprintで中間値を出しつつ、最終的にはユーザーへ返すエラーと内部で握りつぶすエラーを方針化すると運用が安定します。
以下は成功/失敗でstatusを切り替え、後続でIfノード分岐できる最小構成の例です。
# 例外を返り値に格納して分岐可能にする
def main(arg1: list, arg2: int) -> dict:
try:
processed = [x * arg2 for x in arg1]
total = sum(processed)
return {"processed": processed, "total": total, "status": "success"}
except Exception as e:
return {"status": "error", "error_msg": str(e)}
こうしておけば、Ifノードでstatus == “error”の場合にリトライや代替フローへ自然に逃がせます。
Codeノードの基本パターンは公式のサンプルも併せて確認すると、チーム内で書き方を標準化しやすくなります(参考: Code Execution | Dify)。
Dify APIとPythonクライアントで「外から」Difyを呼び出す方法
当セクションでは、Difyで作成したチャットアプリやワークフローを外部からAPI経由で呼び出す具体手順と実装の型を解説します。
理由は、既存のWebフォームやSlackボット、夜間バッチとシームレスに連携できるかが本番運用の成否を分けるからです。
- DifyでUI付きアプリを作り、PythonからAPIで呼び出す全体像
- Pythonからの基本呼び出し例:requestsとdify-client-python
- バッチ処理・社内ツールへの組み込みパターン
DifyでUI付きアプリを作り、PythonからAPIで呼び出す全体像
結論として、Difyは“UIで作ってAPIで使う”設計で、作成したチャットやワークフローはそのままREST APIとして公開できるため、Pythonから簡潔に呼び出せます。
その根拠は、アプリごとに発行されるPublic API KeyをAuthorizationヘッダで渡し、エンドポイント(例:/v1/chat-messages や /v1/workflows/run)へJSONをPOSTするだけというAPIファーストの仕様にあります(参考: Developing with APIs – Dify Docs)。
最初の一歩はDify管理画面でAPIキーを発行し、curlやPythonから疎通テストを行うことです。
以下の図を参考に、アプリ詳細→API Keys→Generateでキーを取得してください。
curl -X POST https://api.dify.ai/v1/chat-messages \
-H "Authorization: Bearer $DIFY_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"inputs": {},
"query": "請求書の送付メールを丁寧に作成して",
"response_mode": "blocking",
"user": "user-123"
}'
import os, requests
API_KEY = os.environ["DIFY_API_KEY"]
url = "https://api.dify.ai/v1/chat-messages"
payload = {
"inputs": {},
"query": "請求書の送付メールを丁寧に作成して",
"response_mode": "blocking",
"user": "user-123"
}
headers = {"Authorization": f"Bearer {API_KEY}", "Content-Type": "application/json"}
resp = requests.post(url, json=payload, headers=headers, timeout=30)
resp.raise_for_status()
js = resp.json()
print("answer:", js.get("answer"))
print("conversation_id:", js.get("conversation_id"))
APIの全容やレスポンス仕様は公式ドキュメントを必ず参照し、当サイトの詳説も併読すると理解が深まります(参考: Developing with APIs – Dify Docs、関連: Dify API完全ガイド)。
Pythonからの基本呼び出し例:requestsとdify-client-python
結論として、実運用では標準のrequestsで書く方法と、クライアントライブラリを使う方法の二択を用途で使い分けるのが効率的です。
理由は、requestsは依存が少なく制御が明確で、クライアントは記述量が減り保守性やテストの再現性が高まるためです。
まずはrequestsの最小実装で認証ヘッダ、ペイロード、必要フィールド抽出の基本を押さえます。
次に、コミュニティ製のdify-client-pythonを使うと記述がさらに簡潔になります(参考: dify-client-python – PyPI)。
最後に、仕様の詳細は公式APIドキュメントを参照し、ライブラリ版はバージョン差分に注意して導入してください(参考: Developing with APIs – Dify Docs)。
- requestsの長所:依存が少ない/挙動を細部まで制御しやすい/組織標準に乗せやすい。
- requestsの短所:ボイラープレートがやや増える/ストリーミング処理を自前で組む必要。
- dify-client-pythonの長所:記述が簡潔/共通エラー処理や再利用がしやすい。
- dify-client-pythonの短所:非公式実装が多く、API差分やメンテ状況の確認が必須。
# requests版(チャットアプリ例)
import os, requests
API_KEY = os.environ["DIFY_API_KEY"]
headers = {"Authorization": f"Bearer {API_KEY}", "Content-Type": "application/json"}
body = {"inputs": {}, "query": "社内規程のFAQを3件リスト化して", "response_mode": "blocking", "user": "u-42"}
r = requests.post("https://api.dify.ai/v1/chat-messages", json=body, headers=headers, timeout=30)
r.raise_for_status()
print(r.json().get("answer"))
# dify-client-python版(記法はバージョンで異なる場合あり)
import os
from dify_client_python import DifyClient
client = DifyClient(api_key=os.environ["DIFY_API_KEY"]) # base_urlはデフォルトでapi.dify.ai
resp = client.chat_messages(
query="社内規程のFAQを3件リスト化して",
inputs={},
user="u-42",
response_mode="blocking",
)
print(resp.get("answer"))
より踏み込んだ実装と比較観点は、内部記事の解説も役立ちます(関連: OpenAI APIをPythonで完全解説)。
バッチ処理・社内ツールへの組み込みパターン
結論は、典型パターンをテンプレ化し、リトライとレート制御を最初から組み込むことで、Dify連携は安定運用できます。
理由は、夜間バッチやSlackボットなどはネットワーク揺らぎや429発生が避けづらく、標準化された再実行戦略がSLAを支えるからです。
代表例として、夜間に社内ドキュメントを収集してナレッジベースに登録し、日中の問い合わせはワークフローを叩いて回答する方式があります(関連: Difyの「ナレッジ」完全ガイド、参考: Developing with APIs – Dify Docs)。
また、社内ポータルやSlackコマンドからDifyワークフローを呼び出し、blockingで結果を返すとユーザー体験が安定します(関連: Dify Workflow完全ガイド)。
私の現場では、当初はPython+OpenAI APIで記事自動生成を運用していましたが、DifyのRAG・ワークフローに置き換えると監視と改修負荷が大きく下がり、運用が楽になりました。
最後に、基本の型を守れば拡張も容易で、導入後の保守工数を抑えられます。
- 入口:Webフォーム/Slackボット/夜間バッチ。
- Dify:ワークフローで意図分類→検索→Python計算→最終生成。
- 制御:429時の指数バックオフ、Timeout、監査ログ記録。
- データ:ナレッジベースへ定期ETL、重要語での検索ブースト。
# 429やネットワーク例外に備えた指数バックオフ例
import os, time, requests
API_KEY = os.environ["DIFY_API_KEY"]
H = {"Authorization": f"Bearer {API_KEY}", "Content-Type": "application/json"}
URL = "https://api.dify.ai/v1/workflows/run"
def call_with_retry(payload, max_attempts=5):
delay = 1.0
for attempt in range(1, max_attempts + 1):
try:
r = requests.post(URL, json=payload, headers=H, timeout=60)
if r.status_code == 429:
raise RuntimeError("rate limited")
r.raise_for_status()
return r.json()
except Exception as e:
if attempt == max_attempts:
raise
time.sleep(delay)
delay = min(delay * 2, 30)
# 例:夜間バッチでワークフロー実行
res = call_with_retry({"inputs": {"path": "/share/docs"}, "response_mode": "blocking", "user": "batch-1"})
print(res.get("outputs"))
学習と内製力強化を同時に進めたい場合は、体系立てて現場適用まで伴走してくれるオンライン講座の活用も有効です(例:DMM 生成AI CAMP)。
セルフホスト版でのPython自由度とセキュリティ設計
当セクションでは、セルフホスト版で実現できるPython実行環境の拡張と、エンタープライズ導入時のセキュリティ・権限設計について解説します。
なぜなら、PoC段階ではSaaSの運用容易性が有効でも、本番移行では社内SDKや閉域網、厳格な監査要件などがボトルネックになりやすいからです。
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セルフホスト版なら任意ライブラリや社内SDKをDockerに組み込める
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SaaS版とセルフホスト版のPython周りの違いと選び方
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エンタープライズ導入時のセキュリティ・権限設計のポイント
セルフホスト版なら任意ライブラリや社内SDKをDockerに組み込める
結論として、セルフホスト版ならDockerイメージの拡張により、任意のPythonライブラリや社内SDKをCodeノードの実行環境へ安全に組み込めます。
その理由は、標準イメージをベースにpip installを追加しつつ、プロキシや証明書、ネットワーク分離などを自社ポリシーで統制できるためです。
例えばscikit-learnやbeautifulsoup4、社内データベースの専用SDKを追加すれば、機微データを閉域内で処理しつつ高精度な前処理や推論をPythonで実装できます。
インフラはDocker ComposeまたはKubernetesで展開でき、CPUやメモリはRAGや並列実行に応じてスケールする構成が推奨です(参考: Docker Compose – Dify Docs)。
運用ではライブラリのバージョン固定と再現性確保が重要で、Web UIとコンテナ内動作の差異を避けるために同一イメージを本番・検証で共用し、依存関係の差異を解消します(参考: GitHub Issue #4463)。
以下のDockerfile例のように、標準サンドボックスイメージへ最小限の追加を重ねる方針が実践的です。
# ベース: DifyのPythonサンドボックス(例)
FROM langgenius/dify-sandbox:latest
# 追加ライブラリはバージョン固定で管理
RUN pip install --no-cache-dir \
scikit-learn==1.5.2 \
beautifulsoup4==4.12.3 \
pandas==2.2.3 \
numpy==2.1.2
# 社内PyPI/プロキシを使う場合の例
# ENV PIP_INDEX_URL=https://pypi.internal.example.com/simple
# COPY internal-sdk-1.2.0.whl /tmp/
# RUN pip install --no-cache-dir /tmp/internal-sdk-1.2.0.whl
# 実行時は既存のエントリポイント/制限を踏襲
# (Dify Sandboxのリソース・ネットワーク制限は引き続き有効)
セルフホスト導入の下準備やComposeファイル例は、詳解記事の手順も併せて確認してください(関連: 【徹底比較】DifyをDockerでインストールするベストな方法は?)。
SaaS版とセルフホスト版のPython周りの違いと選び方
結論は、運用負荷の小さいSaaS版と、Pythonの自由度と閉域セキュリティを最大化できるセルフホスト版を、要件に応じて使い分けることが最適です。
理由として、SaaS版は外部通信や追加ライブラリに制約がある一方、セルフホスト版は任意ライブラリ導入やGPU活用、ネットワーク閉域が可能だからです(参考: Code – Dify Docs、参考: Plans & Pricing – Dify)。
以下の比較表を起点に、PoCはSaaS、本番でPython中心の高度処理や社内データ密結合が必要ならセルフホストへ段階移行する方針が現実的です。
| 観点 | SaaS版 | セルフホスト版 | 推奨シーン |
|---|---|---|---|
| Pythonの自由度 | 既定ライブラリ中心、外部通信は制限的 | 任意ライブラリ/社内SDK可、閉域網での実行 | 厳密な前処理や私有モデル連携が必要ならセルフホスト |
| セキュリティ/データ境界 | マルチテナントで標準防御 | データ/ネットワークを自社統制 | 機微情報やデータレジデンシー要件ならセルフホスト |
| 運用コスト | 最小、すぐ使える | 初期構築と保守が必要 | 短期PoCはSaaS、長期基盤はセルフホスト |
例えばFAQボットや外部API連携中心のライトなPoCはSaaS版が迅速で、SAPやDWH、ローカルLLMへの深い結合を伴う本番システムはセルフホスト版が適合します。
したがって、まずSaaSで素早く仮説検証し、要件が固まった段階でセルフホストに移行する二段ロケット戦略が無駄が少ないです(関連: Difyをローカル導入したい企業のための実践ガイド、関連: Difyのセキュリティ徹底解説)。
セキュリティ設計や権限設計まで含めて体系的に学びたい場合は、実務直結のオンライン講座を活用すると効率的です(参考: DMM 生成AI CAMP)。
エンタープライズ導入時のセキュリティ・権限設計のポイント
結論として、SSO/RBAC/監査ログといったエンタープライズ機能を前提に、Pythonコードの変更・実行・デプロイを「誰が・どこで・いつ」許可するのかを明文化し、環境分離で統制することが重要です。
理由は、Codeノードやプラグインが社内データへ到達し得るため、開発者の編集権限と実行権限、ならびに本番・検証のゲート管理を分離しないとリスクが高まるからです。
Enterpriseプランでは、SOC 2 Type 1準拠、SSO、RBAC、監査ログなどのガバナンス機能が提供され、内部統制のベースラインを満たしやすくなります(参考: Dify.AI: Trust Center)。
特に監査ログは「誰が、どのワークフローを、どのバージョンで実行したか」の証跡として有用で、異常検知や事後検証の迅速化に寄与します(参考: Dify Enterprise Now Available in the Microsoft Azure Marketplace)。
実務運用では、本番環境で許可されるPythonパッケージのホワイトリストや、外部通信の出口制御、秘密情報の管理境界(Vault/Key管理)を明確にすると事故率が下がります。
以下はセキュリティ部門とすり合わせるべき主要ポイントです。
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データ分類と取り扱い範囲(公開/社外秘/機微)
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SSO方式(SAML/OIDC)と属性連携、RBACのロール定義
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Pythonコードの変更承認フローと本番反映手順(4眼/6眼)
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依存ライブラリのSBOM管理と脆弱性対応ポリシー
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ネットワーク境界(閉域/VPC)、外部通信の出口制御と監査
-
監査ログの保存期間、アラート条件、インシデント対応体制
これらを事前に合意しておけば、PoCから本番への移行が円滑になり、監査対応のコストも最小化できます(関連: Difyのセキュリティ徹底解説)。
Difyの料金プランとPython実行環境の関係:どのプランを選ぶべきか
当セクションでは、Difyの料金プラン別にPython実行環境と運用面の違いを整理し、規模ごとに最適な選択肢を明確にします。
理由は、同じワークフローでもサンドボックスの制約やAPIレート、ログ、メンバー数が安定稼働の可否を左右し、PoCと本番で求められる前提が大きく異なるからです。
- 無料Sandboxでできること:個人検証には十分だが、本番利用には制約あり
- Professional/Teamプランで広がる運用の幅(ログ・API制限・メンバー数)
- Enterprise+セルフホストで「AI基盤」として位置づけるケース
無料Sandboxでできること:個人検証には十分だが、本番利用には制約あり
Sandboxは「まずPythonのCodeノードの作法を掴む」段階には十分だが、本番運用には向かないと考えるのが堅実です。
理由はメンバー1名・アプリ5個・ナレッジベース50MBといったリソース制限とAPIレート制限があり、安定稼働や並列実行の要件を満たしづらいためです(参考: Dify – Plans & Pricing)。
例えば、Codeノードは試せる一方で外部HTTP通信はSaaS上では制約されがちで、連携はHTTP Requestノードやプラグインを活用する前提になります(参考: Dify Docs – Code Node)。
個人の検証なら、1日300実行未満・RAG非依存・チーム共有不要の範囲はSandboxで十分で、詳しい制限は「Dify無料でできること・制限」が整理の助けになります。
一方で、ログ追跡やKB容量の不足、APIレートの頭打ちを感じたらProfessional以上へ早めに移行すると運用の詰まりを回避できます(参考: Dify – Plans & Pricing)。
Professional/Teamプランで広がる運用の幅(ログ・API制限・メンバー数)
結論として、小規模〜中規模チームでPython中心のワークフローを安定運用するなら、ProfessionalまたはTeamが現実的な最適解です。
理由はメンバー数とアプリ上限、ログ無制限、API制限の緩和によって、日次バッチやチャットボットのスパイクにも耐えられる設計にできるからです。
具体的にはProfessionalは月額$59でメンバー3名・アプリ50個・KB 5GB・5,000クレジット、Teamは月額$159でアプリ200個・KB 20GBなどに拡張され、部署横断の利用も視野に入ります(参考: Dify – Plans & Pricing)。
たとえばSlackボットで1日2,000件規模の問い合わせと、夜間のRAGインデックス更新を回す構成はProfessionalでも現実的になり、部門横断の共有やアプリ分割が増えるとTeamの上限が効いてきます。
判断の要諦は「1日の実行回数の中央値・ピーク」「必要メンバー数」「KB容量」で、これらがPoC範囲を超えたら上位プランへの移行が費用対効果を高めます(参考: Dify Docs – Developing with APIs)。
チームのスキル内製化を急ぐ場合は、生成AIとPythonの基礎を短期で底上げできるオンライン講座の活用も有効です(例: Aidemy)。
Enterprise+セルフホストで「AI基盤」として位置づけるケース
全社横断の標準基盤として据えるなら、Enterprise契約とセルフホスト(またはクラウドマーケットプレイス)を組み合わせる構成が王道です。
理由はSSOや厳格なRBAC、詳細な監査ログ、データレジデンシーといった要件を満たしつつ、Python実行環境のライブラリやネットワーク制御を企業標準に合わせてカスタマイズできるからです(参考: Dify Trust Center)。
コスト感はAWS Marketplaceに年額$100,000クラスのリファレンスがあり、SLAや専任サポートを含めたパッケージとして予算化するのが一般的です(出典: AWS Marketplace – Dify Enterprise)。
配備はVPC内や特定リージョンでの展開、Azure Marketplace経由での導入、ローカルLLM併用などの選択肢があり、監査や閉域要件に沿った運用設計が可能です(参考: Dify Blog – Azure Marketplace)。
技術運用面ではDocker Compose/Kubernetesでのセルフホスト、Vector DBやWorkerのスケール設計、Codeノードのライブラリ追加などが論点になります(参考: Dify Docs – Docker Compose)。
- 技術担当者向け要点: 配備方式、ネットワーク境界、Python実行環境の制約/拡張、監査ログの保全年限。
- DX責任者向け要点: ROIと全社ユースケース、内製化ロードマップ、トレーニング計画。
- セキュリティ部門向け要点: SSO/SCIM連携、SOC 2 Type 1の確認手順、データレジデンシーとモデル提供者のデータ利用方針。
最終的には「ガバナンス要件の充足」と「Python拡張の自由度」の両立を軸に、Enterprise+セルフホストで段階的に標準化するのが失敗しにくい道筋です(参考: Dify Trust Center)。
まとめと次の一歩
Dify×Pythonの活躍パターン、Codeノードの書き方、前後処理・API連携サンプル、デバッグ要点、プラン選定とセルフホストの勘所までを俯瞰しました。
小さく作って素早く回す——あなたのPythonはDifyで確かな業務価値に変わります。
まずは無料Sandboxで、記事どおりにCodeノードを1つ作り、「main関数」「引数」「戻り値dict」を体験。
次に、業務に近い前処理/後処理/外部API連携のパターンを1つ選んでPoCを構築し、手応えが出たらProfessional/Team/セルフホストを検討しましょう。
知見を体系化したい方には、実務ノウハウの補完に最適な 生成AI 最速仕事術、全社展開の設計に役立つ 生成DX、事例研究に強い 生成AI活用の最前線 も活用してください。
いま始めれば、PoC止まりを越えて本番運用まで一気に加速できます。