【2025年版】DifyでOCRをフル活用する方法|標準機能と外部OCRの違い・おすすめ構成とワークフロー例

(最終更新日: 2025年11月26日)

紙の領収書やPDFを手入力していて、「この単純作業をAIで楽にできないか」と感じていませんか?

ChatGPTは使うけれど、DifyでOCRをどう組み込むか、どこまで自動化できるかが曖昧で手が止まる。

本記事はバックオフィスやフリーランス向けに、迷わず選べる構成と手順を示し、すぐ試せる形に落とし込みます。

Difyの標準OCRで足りる範囲と外部OCRの違い、日本語PDF・画像の精度、領収書→OCR→項目抽出→スプレッドシート保存までのノーコード手順を解説します。

2025年の最新仕様と実地検証にもとづき、費用感や運用のコツ、失敗防止の要点まで押さえるので、読み終えれば「この構成で行こう」が決まります。

DifyでできるOCRの全体像と「標準機能だけで足りる範囲」

当セクションでは、DifyにおけるOCRの位置づけと、標準機能だけでどこまで対応できるかを具体的に説明します。

なぜなら、OCRはRAGやナレッジ化の成否を左右する入り口であり、Dify標準と外部OCRの役割分担を誤ると、精度・コスト・運用負荷が一気に膨らむからです。

  • Difyは「OCRツール」ではなく、OCRも扱えるAIワークフロー基盤
  • Dify標準のPDF/ファイル解析でできること・できないこと
  • どの程度の精度で日本語PDF/画像を読めるのか
  • Dify Knowledge PipelineでのOCRの位置づけ

Difyは「OCRツール」ではなく、OCRも扱えるAIワークフロー基盤

結論は、Dify自体はOCRエンジンではなく、OCRを含む各種解析モジュールを束ねる“ハブ”であるということです。

理由は、DifyがKnowledge Pipelineやワークフロー上でデータソース・パーサー・OCR・埋め込みなどを疎結合で組み合わせる設計だからです。

例えば非エンジニアでも、標準パーサーで足りない部分をUnstructuredやPaddleOCRに置き換え、RAGのナレッジへ自然に流し込めます(参考: Introducing Knowledge Pipeline – Dify Blog)。

プロダクトマネージャーとしての経験上、ツール単体の“導入”よりも、現場の入力〜活用までの“業務プロセス全体”を設計した方が、品質と費用対効果は安定します。

Difyの操作感や設計の全体像は【2025年最新】Difyの使い方・機能・料金も併せて確認すると腹落ちします。

Dify標準のPDF/ファイル解析でできること・できないこと

結論として、テキストレイヤーをもつPDFやOffice文書はDify標準(ETL_TYPE=dify)で十分だが、画像だけのPDFや画像ファイルは標準ではOCRされません

理由は、標準パーサーが文字抽出に特化しており、スキャン画像のOCRは外部モジュールへ委ねる設計だからです。

実例として私も「画像のみPDF」をナレッジに入れた際、ページは取り込まれるのにテキストが空のままでハマり、Unstructured連携に切り替えて解決しました(参考: dify doesn’t seem to support parsing image-only PDF files · Issue #11063)。

セルフホスト環境では次のように切り替えると安定しました。

# docker/.env の例
ETL_TYPE=Unstructured
UNSTRUCTURED_API_URL=http://unstructured:8000/general/v0/general
# 必要に応じて UNSTRUCTURED_API_KEY=xxxxx

スキャン中心の現場なら最初からUnstructuredやOCRプラグイン前提でパイプラインを設計し、ナレッジ作成はDifyの「ナレッジ」完全ガイドに沿って検証を進めるのが近道です。

どの程度の精度で日本語PDF/画像を読めるのか

結論は、精度は「PDFにテキストが埋め込まれているか」と「採用する外部OCRの性能」に強く依存します

理由として、Dify標準はOCR自体を行わず、スキャンや画像の認識はPaddleOCR、TextIn、GPT-4oなど外部エンジンの特性で決まるからです。

たとえばPaddleOCRは軽量高速で印刷体に強く、TextInはMarkdown出力で表やレイアウト復元に強みがあり、GPT-4oは文脈理解力に優れ手書きや崩れた版面も補完しやすい一方でコストが高めです。

日本語の縦書き、手書き、レシートの極小文字などはエンジン差が出やすく、用途別に短いPoCで比較するのが堅実です。

再結論として、必ず自社の実ファイルで小規模ベイクオフを行い、コストと精度のバランスを見極めて選定してください(RAG設計はRAG構築のベストプラクティスも参照)。

Dify Knowledge PipelineでのOCRの位置づけ

結論として、DifyではOCRはETLのTransform段階にある“重要モジュール”で、単なる文字起こしではなく構造を保った解析の要です

理由は、2025年のKnowledge Pipeline刷新で、レイアウトや表構造を保持したままLLMに渡せるようモジュール化されたからです。

具体的には、Extractで収集したPDFや画像がTransformでOCR・レイアウト解析・クリーニング・チャンク分割を経て、Loadで埋め込みとベクトルDB保存へ進みます。

下図の簡易ETLフローを見ると、OCRがどこで効くかが瞬時に把握できます。

ETLフロー図:Extract(ファイルやクラウド、ウェブ)→ Transform(OCR・レイアウト解析・クリーニング・チャンク)→ Load(埋め込み・ベクトルDB保存)。Transform段階のOCRモジュールを強調し、日本語PDF/画像の処理をイメージできるシンプルなSVGイラスト

再結論として、OCRは前処理ではなく“情報価値を高める変換”であり、ここを最適化するとRAG全体の精度が底上げされます(参考: Introducing Knowledge Pipeline – Dify Blog)。

Dify標準機能 vs 外部OCR連携:何が違う?どちらを選ぶべき?

このセクションでは、Dify標準のドキュメント解析と外部OCRプラグインの違い、そしてケース別の最適な選び方を解説します。

理由は、DifyのKnowledge PipelineではOCRがTransform段階の要になり、選択を誤ると精度・コスト・速度のいずれかで大きくロスが出るからです。

  • DifyだけでOCRは完結できる?の答え
  • 代表的な外部OCR:Unstructured・PaddleOCR・TextIn・GPT-4oの特徴整理
  • 縦書き・手書き日本語はどこまで読める?
  • Dify標準+外部OCRそれぞれのメリット・デメリットまとめ

DifyだけでOCRは完結できる?の答え

結論は「テキスト付きPDF・Office文書=Dify標準でOK、画像だけのPDF・紙スキャン・写真=外部OCRが必須」です。

理由は、Dify標準のPDFパーサーはテキストレイヤーから抽出する設計で、画像のみのPDFに対してOCRを自動実行しないためです(参考: dify doesn’t seem to support parsing image-only PDF files · GitHub)。

Dify標準と外部OCRの意思決定フロー:1) PDFにテキストレイヤーがある→標準、2) 画像PDF/スキャン/写真→外部OCR、例外として表構造や図解重視ならUnstructured/TextInを推奨、崩れた手書きはGPT-4oを最後の手段に。

具体例として、社内規定のPDFやWordは標準で十分ですが、スマホで撮った領収書や印影付きの契約書スキャンはUnstructuredやPaddleOCRなどの外部OCRを組み合わせると安定します。

最初は標準で取り込みつつ、外部OCRは無料枠から段階的に足すのが安全で、ワークフローはノーコードで設計できます(参考: 【2025年版】Dify Workflow完全ガイド、関連: Difyの「ナレッジ」完全ガイド)。

代表的な外部OCR:Unstructured・PaddleOCR・TextIn・GPT-4oの特徴整理

外部OCRは「何を重視するか」で選ぶと失敗が減ります。

理由は、抽出の強さ・構造復元力・多言語対応・VLMの文脈補完といった軸が違い、用途ごとに最適解が分かれるからです。

主な違いは下表のとおりで、表や図を扱うならUnstructured/TextIn、軽量リアルタイムならPaddleOCR、崩れた手書き・超複雑レイアウトはGPT-4oが最終手段です。

結論として、まずはPaddleOCRで軽量に試し、表が多い文書ではUnstructuredかTextInに切り替え、どうしても読めない手書きはGPT-4oで補完するのが定石です。

サービス名 得意分野 日本語対応 料金感 おすすめ用途
Unstructured 表・図の抽出、レイアウト保持、ETL統合 対応 約$0.03/ページ目安 マニュアル/財務資料の構造化RAG
PaddleOCR 軽量高速の多言語テキスト認識 強い 自前API運用で低コスト チャットでの即時OCR、日常スキャン
TextIn Markdown出力で構造復元 対応 API従量(契約形態次第) 論文/財務諸表/マニュアルの正規化
GPT-4o OCR 文脈補完、手書き・崩れたレイアウト 対応 高コスト(画像+出力トークン) 読めない箇所の最後の切り札

OCR比較の4象限チャート:横軸コスト(低→高)、縦軸精度/構造復元(低→高)。左下にPaddleOCR、右下にTextIn、左上にUnstructured、右上にGPT-4oを配置。

縦書き・手書き日本語はどこまで読める?

結論は「印刷物の縦書きはエンジン選定である程度いけるが、崩れた手書きは誤認識が残り、人の最終確認が必須」です。

理由は、多くのOCRが横書き前提で訓練されており、縦中横やルビ、行間の詰まりで読み順が乱れやすく、手書きは書き手の癖でパターン外になりやすいからです。

私の検証では、レシートはPaddleOCRで日付・金額の抽出率が高く、TextInは列の読み順復元がうまくMarkdownで使いやすい出力でした。

一方、急いで書いた手書きメモはGPT-4oが全体の文脈で補って最も意味が通りましたが、数字の桁や固有名詞で修正が必要なケースがありました。

重要書類や金額が絡む処理では、どのエンジンを使っても最終は人の目でレビューする運用を前提にすべきです。

Dify標準+外部OCRそれぞれのメリット・デメリットまとめ

結論として、標準のみは「速く安いが構造と画像に弱い」、外部併用は「精度と柔軟性が高いがコストと設定が増える」という住み分けです。

理由は、標準はテキストレイヤーに依存し、外部は表構造や図の抽出、手書き補完など追加能力と引き換えにAPI費用や運用の手間が生じるからです。

観点 Dify標準のみ 外部OCR併用
速度 速い(待ち行列優先度も影響) 外部API分だけ増加
費用 プラットフォーム内で完結 従量課金が追加
精度 テキストPDFで安定 表・図・手書きで有利
柔軟性 低〜中 高(用途別に切替可能)
実装難易度 中(API鍵・ノード設計)

実践の勘所は「まず標準+無料枠のOCRで小さく試し、表や手書きが多い領域から段階的に拡張」することです。

プランや処理枠はコスト設計に直結するため、詳細は料金比較も併せて確認してください(参考: Difyの料金プランを徹底比較、無料枠の制約は Dify無料でできること)。

ワークフロー設計やプロンプト最適化を体系的に学ぶなら、短期集中の学習サービスを活用すると実装の失敗が減ります(例: DMM 生成AI CAMP)。

ユースケース別:Dify×OCRのおすすめ構成パターン

当セクションでは、主要な業務ユースケース別にDifyとOCRの最適な組み合わせと構成パターンを解説します。

なぜなら、同じOCRでも文書の種類や目的により「精度・コスト・運用負荷」の最適解が変わり、DifyのKnowledge Pipelineやワークフロー設計で成果が大きく左右されるからです。

  • 領収書・レシートの自動読取:小規模なら軽量OCR+Difyワークフロー
  • 請求書・見積書・納品書:表構造が大事ならUnstructured/TextInを優先
  • 契約書・スキャンPDF・技術資料:検索性重視ならKnowledge Pipeline活用
  • 画像からの文字起こし・メモ整理:チャットフロー+リアルタイムOCR

領収書・レシートの自動読取:小規模なら軽量OCR+Difyワークフロー

少量運用や個人〜小規模チームの経費精算なら、PaddleOCRなどの軽量OCR+Difyワークフローで「撮る→抽出→整形→スプレッドシート保存」を自動化するのが最適です。

レシートはレイアウトが雑多でも抽出項目は定型なので、構造復元型の高価なOCRを使わずとも十分に運用できます。

推奨フローは「スマホで撮影→DifyのワークフローでPaddleOCRをツールノード呼び出し→LLMで項目抽出とバリデーション→Googleスプレッドシート書き込み」です。

抽出する代表項目は次のとおりです。

  • 支払日
  • 支払先(店舗名)
  • 税込金額/税額(内税・外税の別)
  • 品目内訳(任意)
  • 支払方法(現金/カード)
  • レシート番号(任意)

きれいな写真と十分な解像度なら数値項目で80〜95%の精度が期待でき、くしゃくしゃの紙や極小文字は低下するため撮影ガイドを整備すると安定します。

ノーコードでつなぎたい場合は「ワークフロー」を使うと実装が早く、詳細は【2025年版】Dify Workflow完全ガイドが参考になります。

参考: PaddleOCR Text Recognition – Dify Marketplace

請求書・見積書・納品書:表構造が大事ならUnstructured/TextInを優先

明細表の行・列・小計/合計の位置関係を保ちたいなら、UnstructuredやTextInのようにMarkdown/HTMLで表構造を復元できるOCRを優先すべきです。

プレーンテキスト抽出だと読み順が崩れて「行と列が混ざる」「合計がどの列か不明」などの事故が起きやすく、後続の自動仕訳や科目推定に支障が出ます。

Unstructuredの表推論やTextInのMarkdown出力を使うと、ヘッダーと行が保たれ、勘定科目の自動推定や取引先ごとのルール化が容易になります。

下図はプレーンOCRで失敗した例(左)と、表構造を復元できた例(右)から会計ソフト連携までのイメージです。

左に行・列が崩れたOCRテキスト、右にヘッダー付きMarkdown表で復元、中央にDify、Unstructured/TextInのロゴ、右端に会計ソフト連携の矢印という比較図

自動化の全体像をつかみたい方は、併せて【2025年最新】AI OCRツール徹底比較も参照すると判断がぶれません。

参考: Unstructured – Dify Marketplace

契約書・スキャンPDF・技術資料:検索性重視ならKnowledge Pipeline活用

数十〜数百ページの契約書や技術マニュアルを「あとから速く検索・要約・比較」したいなら、Dify Knowledge PipelineにUnstructured/TextInやMistral OCRを組み合わせる構成が最有力です。

Pipelineなら抽出→変換→チャンク→埋め込み→ベクトルDB保存がモジュール化され、表紙や脚注も含む読み順や表を保ったままRAGに最適化できます。

チャンクはGeneralで十分なケースもありますが、長文はParent-Child戦略で親子関連を保持するとヒット精度と要約品質が安定します。

下図のとおり「ファイル投入→パイプライン設定→テスト実行→チャットから検索」の順で、非エンジニアでも運用がイメージしやすくなります。

Knowledge Pipelineの流れ:ファイル投入、Transform(OCR/Parse)、Chunk(Parent-Child)、EmbeddingとVectorDB保存、チャット検索までのフローチャート

手順や設定の詳細はDifyの「ナレッジ」完全ガイドRAG構築のベストプラクティスが実務に役立ちます。

参考: Introducing Knowledge Pipeline – Dify Blog

画像からの文字起こし・メモ整理:チャットフロー+リアルタイムOCR

ホワイトボードや手書きメモは、DifyのチャットフローでPaddleOCRやGPT-4o OCRをツールノード呼び出しし、その場で文字起こし→要約→ToDo抽出までを一気通貫にするのが実用的です。

チャットに画像を投げるだけで反応するため、会議中の即時共有やフォローアップの抜け漏れ防止に効きます。

私の運用例は「写真アップロード→OCR→LLMで箇条書き要約→担当者と期限のパース→スプレッドシート/タスク管理へ登録」で、ToDoの初稿生成に数十秒です。

下図は最小構成のノード例で、軽量なPaddleOCRと高精度のGPT-4oをタスクに応じて切替える設計にしています。

Difyチャットフローのノード図:User Upload→OCR(PaddleOCR/GPT-4o)→LLM要約→ToDo抽出→スプレッドシート連携、ホワイトボード写真のアイコン付き

音声も同時に残したい場合は録音〜要約がワンタッチのPLAUD NOTEを併用すると議事の再現性がさらに高まります。

あわせてノード設計のコツはDify Workflow完全ガイドDify Agent完全ガイドが参考になります。

参考: GPT-4o PDF OCR to Markdown – Dify Marketplace

実装手順:ノーコードで作る「領収書→OCR→項目抽出→スプレッドシート保存」

本セクションでは、ノーコードで領収書画像のアップロードからOCR、項目抽出、スプレッドシート保存までを一気通貫で実装する手順を解説します。

理由は、実務でつまずきやすいポイントが「どこをOCRに任せ、どこをLLMのプロンプトで処理するか」という切り分けにあるためです。

  • 全体フローの整理:どのステップをDifyに任せるか
  • ステップ1:Difyワークフローでトリガーとファイル入力を設定
  • ステップ2:OCRプラグイン(例:PaddleOCR)ノードを挿入
  • ステップ3:LLMノードで日付・金額・支払先などを抽出
  • ステップ4:Googleスプレッドシート(またはCSV)への書き込み
  • ステップ5:仕訳候補の自動提案まで拡張するアイデア

全体フローの整理:どのステップをDifyに任せるか

結論は「OCRはツールノード、項目抽出はLLMノード、保存は外部連携に分離」すると迷いがなくなることです。

役割を分けると失敗箇所が特定しやすく、Difyの可視化された入出力で検証が速く進むためです(参考: Dify Plugin System)。

本記事の基本フローは「①画像アップロード→②OCR→③項目抽出→④スプレッドシート保存→⑤仕訳候補提案(任意)」です。

まず下図を把握してから各ステップを設定すると、接続関係の誤りを防げます。

ユーザー→Difyワークフロー→OCR→LLM→Spreadsheetの簡易フローチャート。左から、ユーザーが領収書画像をアップロード→Difyのファイル入力→OCRプラグイン→LLMノード(JSON抽出)→Googleスプレッドシート/CSV保存へ直線で接続。

  • OCR呼び出し:マーケットプレイスのツール/プラグインノード(例:PaddleOCR)
  • 項目抽出:LLMノードのプロンプトでJSON化
  • 保存:HTTPリクエストノードやスプレッドシート連携ノード

ステップ1:Difyワークフローでトリガーとファイル入力を設定

まず新規ワークフローを作成し、トリガーとファイル入力を置くところから始めます。

最初に入力口を確定させると、後続のOCRやLLMへの配線がシンプルになるためです。

ワークフロー画面で「新規作成」→トリガーを「チャット」または「HTTPリクエスト」に設定します(詳しい画面解説は 【2025年版】Dify Workflow完全ガイド も参照)。

キャンバスに「ファイル入力」ノードを追加し、拡張子はjpg/png/pdfを許可、最大サイズは運用に合わせて調整します。

ファイル入力の出力を次のOCRノードへつなげる想定で、ポート名とデータ型を確認します。

下図のように「トリガー→ファイル入力→OCR」の直線で配置すると、視線の流れも掴みやすいです。

Difyワークフロー編集画面のスクリーンショット想定。左にトリガーノード、中央にファイル入力ノード、右にOCRノードを直線で接続。各ノードの設定項目(受入拡張子、最大サイズ、出力ポート)に赤枠ハイライト。

ステップ2:OCRプラグイン(例:PaddleOCR)ノードを挿入

マーケットプレイスからOCRプラグインを追加したら、API_URLとアクセストークンの設定を最初に済ませるのがコツです。

認証が通っていないとノード実行が失敗し、ワークフロー全体が停止するからです。

Difyの「マーケットプレイス」でPaddleOCRを追加し、プラグイン設定でAPI_URLとアクセストークンを登録します。

ワークフローに「ツール」ノードとしてPaddleOCRを配置し、入力にファイル入力ノードのファイルオブジェクトをマッピングします。

無料で試すならセルフホストのPaddleOCRや低単価のUnstructured、難易度の高いレイアウトや手書きにはGPT-4o OCRも検討できます。

料金や無料枠は公式ページで事前に確認し、必要に応じてBYOK(自前キー)運用に切り替えましょう。

ステップ3:LLMノードで日付・金額・支払先などを抽出

OCRの生テキストはLLMノードで正規化し、厳密なJSONに整形してから後段へ渡します。

スプレッドシート連携や会計連携はキー名と型の安定が前提であり、自由記述のままだと自動化が崩れるためです。

LLMノードのシステム/ユーザープロンプトに以下を貼り付け、出力はテキストで受けて後段でJSONパースしてください。

あなたは会計補助アシスタントです。
入力はOCRで抽出した領収書テキストです。
以下のJSONキーで必ず出力してください(純粋なJSONのみ)。
{ "date": "YYYY-MM-DD",
  "amount": number,
  "currency": "JPY",
  "vendor": string,
  "tax_amount": number|null,
  "payment_method": string|null,
  "category_suggestion": string,
  "confidence": number }
制約:
- フォーマットは厳密なJSON、前後に説明文を付けない。
- 金額は半角数値、カンマ・通貨記号を除去。
- 日付はYYYY-MM-DDに正規化(推定時は信頼度を下げる)。
- 不明項目はnullにする。
- category_suggestionは内容から1語で推定(例: "交際費")。
入力テキスト:
{{ocr_text}}

テスト実行で不安定な場合は温度を0.2程度に下げ、最大出力長を十分に確保すると安定します。

各ノードの入出力を逐次確認できる可観測性により、OCRの読み違いにも早期に気づけます(参考: Introducing Knowledge Pipeline – Dify Blog)。

プロンプト設計の基礎や型化は プロンプトエンジニアリング入門 も参考になります。

ステップ4:Googleスプレッドシート(またはCSV)への書き込み

保存先は「Googleスプレッドシート」か「CSV」から始めるのが最短です。

初期運用では認証や権限で止まりがちで、CSVならコストゼロで試行回数を稼げるためです。

Googleに書く場合はApps ScriptでWebアプリをデプロイし、DifyのHTTPリクエストノードからJSONをPOSTして一行追記させます。

既存のスプレッドシート連携ノードやMake/Zapierを使うと認証・リトライ・ログが内蔵され安心です(比較は AI自動化ツール徹底比較 参照)。

筆者はGASとZapierの併用で月数万件の行追加を安定運用しており、ピーク時はキューイングを有効化しています。

体系的に学びたい方は業務自動化の基礎をまとめた良書も役立ちます(例: 生成AI 最速仕事術)。

ステップ5:仕訳候補の自動提案まで拡張するアイデア

抽出済みのベンダー名・用途から勘定科目や税区分の候補をLLMに提案させると、確認工数を大幅に削減できます。

会計は文脈依存が強く誤判定リスクがあるため、最終判断は人間が行う前提を明確にしてください。

会社の科目マッピング表や消費税ルールをシステムプロンプトに与え、「上位3候補+理由+根拠テキスト抜粋」を返す指示が実務で扱いやすいです。

レビューを速めるため、候補それぞれに信頼度スコアと根拠文字列のオフセットを返すよう促すと差し戻しが減ります。

私は簿記2級・FP2級を保有しており、承認フローを残す設計にすると監査対応も安心でした(会計AIの全体像は 経理AI完全ガイド 参照)。

運用のコツは、対象期間・プロジェクト名などのメタデータ列を先に設け、プロンプトだけで微調整できる設計にすることです。

費用感と運用のリアル:DifyプランとOCRAPI料金の考え方

当セクションでは、Difyの料金プラン選定と外部OCR APIの従量課金を前提に、月次・年次での費用感と運用最適化の考え方を整理します。

理由は、OCR×RAGの成果はモデル選定以上に「取り込みスループット」と「総保有コスト(TCO)」設計で差がつくためです。

  • Difyの料金プランと「ドキュメント処理」の関係
  • 外部OCRの従量課金:どれくらい費用がかかるかざっくり試算
  • TCO(総保有コスト)をどう考えるか:工数削減とのトレードオフ

Difyの料金プランと「ドキュメント処理」の関係

大量のPDFを一気にOCRしてナレッジ化するなら、少なくともProfessional以上を検討するのが安全です。

理由は、ナレッジ容量・ドキュメント処理の優先度・リクエスト制限がインデックス作成の待ち時間と失敗率に直結するからです。

とくにTeamの「Top Priority」は内部キューで優先処理され、バッチ投入時の待機時間を短縮できます。

プラン 月額 処理優先度 ナレッジ容量 ナレッジリクエスト制限(回/分) ドキュメント数上限
Sandbox 無料 Standard 50MB 10 50
Professional $59 Priority 5GB 100 500
Team $159 Top Priority 20GB 1,000 1,000

なお、この表は執筆時点の要約であり、最新条件は必ず公式ページで確認してください(参考: Plans & Pricing – Dify)。

また、Difyのサブスク料金には外部OCRプラグインのAPI料金は含まれないため、別途の従量課金を見込む前提で設計します(参考: Plans & Pricing – Dify)。

プランの細かな違いや注意点は、解説記事【2025年最新】Difyの料金プランを徹底比較も合わせて参照すると判断が速くなります。

外部OCRの従量課金:どれくらい費用がかかるかざっくり試算

結論は「高価なOCRは本当に必要な文書だけに限定」する三層化が最も再現性高くコストを抑えます。

理由は、Unstructuredのような1ページ数セント課金と、VLM系のトークン課金(GPT-4oなど)では、同じ枚数でも桁違いの費用差が出るからです。

たとえば請求書2,000枚/月なら、テキストPDFは標準処理、スキャンはUnstructuredやTextInへ、一部の読みづらい手書きのみGPT-4oに回すだけで、総額が大きくブレずに済みます。

目安として、Unstructuredは約$0.03/ページで、1,000ページなら約$30です(出典: Pricing – Unstructured)。

TextInは契約により単価が異なるため、ここでは仮に$0.05/ページとすると、500ページで約$25のイメージになります(参考: pdf2markdown – Dify Marketplace)。

GPT-4oは画像トークン+出力トークンの合算で高止まりしやすく、たとえば手書き300ページで数百ドル規模になるケースも現場では珍しくありません(参考: GPT-4o PDF OCR to Markdown – Dify Marketplace)。

ユースケース 月間枚数 想定エンジン 概算コスト例
社内通達・マニュアル(テキストPDF) 3,000 Dify標準 追加$0(サブスク内)
請求書スキャン(標準解像度) 2,000 Unstructured 約$60($0.03×2,000)
技術資料の表復元 500 TextIn 約$25($0.05×500と仮定)
読みにくい手書き 300 GPT-4o 数百ドル規模(画像トークン量に依存)

三層の運用ルールはワークフローに落として自動振り分けすると安定します(設計の基本は【2025年版】Difyの「ナレッジ」完全ガイドRAG構築ベストプラクティスが参考になります)。

以下の三階層イメージを、社内の稟議資料や運用手順書にそのまま転用してください。

OCRコスト最適化の三層モデル:Tier1=テキストPDFはDify標準、Tier2=重要スキャン文書はUnstructured/TextIn、Tier3=読みにくい手書きはGPT-4oに限定。各層の想定単価や例示文書を並べた図解。

TCO(総保有コスト)をどう考えるか:工数削減とのトレードオフ

判断軸はAPI単価ではなく、手入力・チェック削減や誤入力防止まで含めたTCOで見ることです。

理由として、OCR精度が上がるほど人手の検証や差し戻しが減り、長期で見ると再作業コストの逓減が効いてきます。

ROIは「削減時間×人件費−(API費用+サブスク費用)」の構造で表現でき、月次では固定費の按分を忘れない設計がコツです。

# かんたん試算フレーム(例)
年間ROI = (年間削減時間[h] × 時給[¥/h]) − (OCR/API費用[¥] + Difyサブスク[¥])
ブレークイーブン条件 = 年間削減時間[h] ≥ (OCR+サブスク)/時給

著者が支援した大手案件では、検収フローの自動化により年間約1,400時間を削減し、時給¥4,000換算で約¥5.6Mの便益を創出しました。

小規模チームでも「毎月何時間減れば黒字化か」を先に置けば、導入すべきOCRレベルやDifyプランは逆算で決まります。

費用対効果の考え方は、関連記事AIチャットボットの費用対効果とおすすめ導入プランのフレームも援用できます。

失敗しないためのチェックリストと今後のアップデート展望

当セクションでは、導入前の要件チェック、よくあるトラブルの対処法、そしてDifyの今後のアップデート方針と準備について解説します。

なぜなら、OCRの精度とコスト、そしてRAGの品質は、事前設計と初期設定でほぼ決まるうえ、Difyは継続的に進化しているからです。

  • 導入前チェックリスト:これだけは事前に確認しておく
  • よくあるトラブルと対処法(ファイルサイズ・画像PDF・APIキーなど)
  • Difyの今後のアップデートと、今から準備しておきたいこと

導入前チェックリスト:これだけは事前に確認しておく

結論は、OCR導入は「要件定義が8割」です。

理由は、Difyでは標準パーサーと外部OCRプラグインの組み合わせで最適解が変わり、要件の違いがコストと精度を大きく左右するからです。

具体的には、文書の種類、日本語・手書きの有無、月間処理枚数、セキュリティ要件、クラウド可否などを網羅的に洗い出す必要があります。

以下のチェック表を使うと、PoC前に関係者の認識を揃えやすく、選定の透明性も高まります。

ナレッジ取り込み方針はRAGの品質に直結するため、チャンク戦略やベクトルDB選定も同時に想定しておくと安全です(参考: Difyの「ナレッジ」完全ガイドRAG構築のベストプラクティス)。

本記事ではPoC着手前に使えるPDF形式の「要件定義チェックシート」提供を予定しており、準備が整い次第、本セクションからダウンロードできるようにします。

項目 推奨の確認内容 影響する設定/選定
文書タイプ テキストPDF/画像PDF/Office/スキャン/図表の多さ ETL_TYPE、Unstructured/TextIn/GPT-4o OCRの要否
文字種 日本語/英数字/多言語/縦書き/手書き PaddleOCRやVLM系の採用、languagesパラメータ
月間枚数・ピーク 平均/ピークとSLA API従量課金の試算、Difyプランの処理優先度(参考: Dify料金プラン
レイアウト複雑性 表/図/脚注/段組/読み順 Unstructuredのtable推論、TextInのMarkdown復元
セキュリティ/データ所在地 PII/機微情報/持ち出し禁止 セルフホスト可否、BYOK、マスキング処理
クラウド/SaaS可否 外部SaaS利用の制約 オンプレ運用、プラグインのセルフホスト
ファイルサイズ/解像度 MB/ページ数/DPI UPLOAD_FILE_SIZE_LIMIT、ページ分割方針
既存ストレージ GDrive/SharePoint/Box/S3 データソース接続、OAuth可否
検索要件 画像/表も検索対象か 画像切り出しの保存、ベクトルDBの選択
運用体制 責任者/監査ログ/更新頻度 可観測性活用、運用SOP、更新ワークフロー

OCR導入の要件定義チェックリストの図解。左に文書タイプ・文字種・枚数・セキュリティ・クラウド可否などの項目、右にそれぞれが影響するDifyやプラグイン設定(ETL_TYPE、Unstructured、TextIn、PaddleOCR、UPLOAD_FILE_SIZE_LIMIT等)を対応付けたシンプルな2列レイアウト。

よくあるトラブルと対処法(ファイルサイズ・画像PDF・APIキーなど)

結論は、「まず確認する順番」を決めて再現性を取ることです。

理由は、Dify×OCRの不具合は原因が似通っており、形式・サイズ・キー・設定変更の順に機械的に潰すと短時間で復旧できるからです。

例としては、画像のみPDFでOCRが走らない、ファイルサイズ超過、APIキーの無効化、ナレッジ設定の後付け変更によるエラーなどが頻出です。

次のQ&Aと最小フローに沿って確認すると、現場でのMTTRを大幅に短縮できます。

詳細手順は表の各セルに公式ドキュメントやIssueの出典を付けているので、該当箇所を参照してください。

最後に、PoC段階では障害の再現条件と対策を運用SOPに落とし込み、ワンクリック検査のコード片も用意しておくと安心です。

Q A(対処)
画像のみのPDFが取り込めない 標準PDFパーサーはOCRしないため、UnstructuredやTesseract系の導入に切り替える(出典: GitHub Issue #11063)。
ファイルが大きすぎて失敗する UPLOAD_FILE_SIZE_LIMITを引き上げ、ページ分割や解像度最適化を併用する(参考: Environment Variables)。
APIキー設定ミスで動かない キーの有効性・権限・クォータを確認し、BYOKで個別に割当てる(参考: Introducing Dify Plugins)。
既存ナレッジのETL設定変更でエラー 既存KBの設定変更は避け、新規KBを作成して再インデックスする(出典: Issue #8933Issue #13519)。
ファイルURL参照で処理失敗 FILES_URLの誤設定によりBlobを読めず失敗するため、正しい公開URLを指定する(参考: Discussion #13897)。
# セルフホスト環境の最小確認例
ETL_TYPE=Unstructured
UNSTRUCTURED_API_URL=http://unstructured:8000/general/v0/general
UPLOAD_FILE_SIZE_LIMIT=50
FILES_URL=https://your.domain/files

Dify×OCRのトラブルシューティング・ミニフローチャート。1) 形式確認(画像PDF?)→ 2) サイズ制限→ 3) APIキー/クォータ→ 4) KB設定変更の有無→ 5) FILES_URL等の環境変数→ 6) プラグイン/ログ確認、の順にYes/No分岐を示す簡潔な図。

Difyの今後のアップデートと、今から準備しておきたいこと

結論は、Visual化とマルチモーダル対応の強化が進むため、今のうちに小さく試して設計資産を貯めるのが最適です。

理由は、2025年後半にRAGのデータ処理をドラッグ&ドロップで構築できるVisual RAG Pipelinesが予定され、条件分岐を含むフロー設計が平易になるからです(参考: 2025 Dify Summer Highlights)。

また、画像や表のネイティブ取り扱いが進み、Unstructuredの画像切り出しや構造保持の活用が一層重要になります(出典: Introducing Knowledge Pipeline)。

準備としては、現行ワークフローをノーコード化しやすい粒度に分解し、チャンク戦略やメタデータ付与をテンプレート化しておくと移行が容易です(参考: Dify Workflow完全ガイド)。

アップデート時は互換性の注意点もあるため、検証用ワークスペースで先に試し、運用環境は段階反映の方針が安全です(参考: Difyアップデート完全ガイド)。

最後に、仕様は変わる可能性が常にあるため、最新情報は必ず公式ブログやドキュメントで確認しつつ、小規模PoCを継続してアップデート恩恵を最大化しましょう。(参考: Dify Blog

Difyロードマップの概念図。2025年:Visual RAG Pipelines、マルチモーダル強化、OAuth拡大。各マイルストーンと「今やるべき準備」(PoC、テンプレート化、互換検証)をタイムラインで示す。

まとめ:Dify×OCRを今日から動かす

本記事では、Dify標準と外部OCRの違いと使い分け、ユースケース別のおすすめ構成、ノーコード実装と費用・TCOの勘所を凝縮しました。

大切なのは“完璧”より“まず動かす”。小さく回すほど精度とコストの正解が見えてきます。

まずは無料枠で、領収書→OCR→項目抽出→スプレッドシート保存を試しましょう(Dify公式: 登録/Unstructured: 無料トライ/TextIn: 連携)。

設計力の底上げには『生成AI 最速仕事術』『生成DX』が実務に直結します。