(最終更新日: 2025年12月25日)
社内のPDFや議事録をAIで探したいけれど、機密をクラウドに出すのは怖い、何から始めればいいか分からない──そんな不安はありませんか?
Ollamaの埋め込みを使えば、手元のパソコンだけで“検索に強いAI”を安全に試せます。
本記事は、インストール、モデル選び、実行コマンド、Python/Nodeの例、つまずきやすいエラー対応までを一気に道案内します。
まず、埋め込みが何に効くのかをやさしく整理し、Ollamaでの生成手順を丁寧に解説します。
mxbai・nomic・Gemma系などのモデル比較に加え、OpenAIなどクラウド方式との精度・コスト・速度の違いも実務目線で整理。
さらに、社内向けの検索型AIを小さく立ち上げる手順と、ローカル×クラウドの賢い併用の考え方までカバー。
2025年の最新動向を反映し、“まずはこの手順で動く”を最短で実現します。
Ollamaで使うembeddingsの基本:何のために必要で、どんな場面で効くのか
当セクションでは、Ollamaで扱うembeddingsの役割と価値、そして具体的にどんな場面で効くのかを整理して解説します。
なぜなら、RAGの精度や業務検索の体験は「どのEmbeddingモデルで、どう使うか」で大きく変わるからです。
- そもそもembeddingsとは?RAGや類似検索で何をしているのか
- Ollamaのembeddingsはどんなユースケースに向いているか
- RAGの中でembeddingsが担う役割を図解する
そもそもembeddingsとは?RAGや類似検索で何をしているのか
Embeddingsは、テキストの「意味」を数値ベクトルに写像し、距離で近さを測れるようにする技術です。
これにより、キーワード一致だけでは拾えない“言い換え”や“言葉の近さ”で文書を発見できます。
たとえば「王様」と「女王」はベクトル空間で近く、「王様−男+女≈女王」のような関係も距離として表現されます。
社内検索では「出張旅費の上限」で検索しても、文書内に「上限」という語がなくても「旅費規程」や「精算ルール」の章がヒットするイメージです。
下図のように、2次元に圧縮したベクトル空間では似た単語や文が近い位置に集まり、意味のクラスタが直感的に見えます。
技術的な詳細はOllamaの公式ドキュメントのEmbeddings解説が分かりやすいです(参考: Embeddings – Ollama’s documentation)。
Ollamaのembeddingsはどんなユースケースに向いているか
結論として、Ollamaのembeddingsは数千〜数十万ドキュメント規模のローカルRAGや限定運用の社内検索に最適です。
理由は、データを外部に出さずに低レイテンシで回せて、コスト予測が立てやすいからです。
例えば次の部門で特に効果的です。
| 部門 | ユースケース | 規模目安 | ポイント |
|---|---|---|---|
| マーケティング | 施策ナレッジ・競合調査の横断検索 | 数千〜5万 | タグ付け不要で“意味”で探せる |
| バックオフィス | 就業規則・旅費規程のFAQボット | 数千 | 最新改定の即時反映が容易 |
| 営業 | 提案書・事例スニペット検索 | 1万前後 | 過去資産の再利用率が向上 |
| プロジェクト | 議事録・決定事項の横断検索 | 1万〜10万 | チャンク分割で粒度を最適化 |
私自身もマーケ案件で「どこに書いた?」の探索時間が1日に合計1時間以上になることがあり、意味検索導入で初回から半分以下に短縮できました。
一方で、BtoCの大規模サービスや高トラフィック環境ではスケール設計やSLAの観点からクラウド埋め込みAPIの方が向く場面もあります。
短期間で体系的に学ぶなら、実務に直結するオンライン講座の活用も有効です(例: DMM 生成AI CAMP)。
RAGの中でembeddingsが担う役割を図解する
Embeddingsは、RAGの「インデックス化」と「クエリ変換」の二箇所で要となります。
この仕組みにより、LLMに渡す根拠情報が意味的に近い順で選ばれ、回答の正確性が底上げされます。
下図のように、Ollama(LLM+Embeddings)、ベクトルDB、チャットUIが矢印で連携します。
まず、インデックス化として文書をOllamaのEmbeddingモデルでベクトル化し、Chromaやpgvectorに保存します。
次に、ユーザーの質問を同じモデルでベクトルにします。
三つ目に、類似度検索で関連文書を取り出し、最後にそれらをコンテキストとしてLLMに渡して回答を生成します。
実装や設計の全体像はRAGのベストプラクティス解説も参照してください(参考: 【2025年最新】RAG(Retrieval-Augmented Generation)構築のベストプラクティス)。
Ollamaでembeddingsを生成する手順:インストールからCLI・Python・Node.jsまで
当セクションでは、Ollamaで埋め込み(Embeddings)を生成するための具体的な手順を、インストールからCLI・Python・Node.js、さらにOpenAI互換エンドポイントまで順番に解説します。
なぜなら、RAG構築や社内検索の精度はEmbeddingの品質と実装の正確さに直結し、Ollamaはエンドポイントの仕様変更やライブラリ差異でつまずきやすいポイントがあるためです。
- Ollamaのインストールと事前チェック(GPUがなくてもOK?)
- 埋め込みモデルを取得する:ollama pullの具体例
- CLIからembeddingsを生成する:手早く動作確認する方法
- PythonからOllama embeddingsを呼び出す:RAG用ベースコード
- Node.js/TypeScriptからの利用:フロントエンド寄りの開発者向け
- OpenAI互換エンドポイントで既存コードをほぼそのまま動かす方法
Ollamaのインストールと事前チェック(GPUがなくてもOK?)
結論として、Embedding生成だけならCPU環境でも十分に試せる一方で、LLM応答まで含めるとGPUやAppleシリコンの恩恵が大きいです。
理由は、mxbai-embed-largeやembeddinggemmaのようなEmbeddingモデルは比較的軽量で、推論負荷が低いためです。
具体例として、macOSは.pkgから、Windowsはインストーラー、Linuxはcurl一発またはDockerで導入でき、M1/M2/M3 MacやNVIDIA/AMD GPUがあれば一段速くなります(参考: Blog · Ollama)。
最初の一歩としての目安は次の表が実用的です。
| ケース | 最低限の目安 | 体感 |
|---|---|---|
| CPUのみ(ノートPC) | メモリ16GB、SSD推奨 | Embedding生成はOK、LLM応答は待ち時間増 |
| Appleシリコン(M1/M2/M3) | ユニファイドメモリ16GB以上 | Embedding高速、8B級LLMも実用 |
| NVIDIA GPU(サーバ/WS) | VRAM16〜24GB以上 | バッチ生成や大規模RAGで最適 |
社内導入ではDocker実行で隔離・更新しやすく、ネットワーク露出を避けるのが安心です(社内向け詳細は【2025年版】OllamaをDockerで動かす完全ガイド)。
まずはローカルで試し、CPU運用の限界やコスパはOllamaはCPUだけでどこまで使える?も参考に最小コストで検証を進めましょう。
埋め込みモデルを取得する:ollama pullの具体例
Embedding生成の準備は、必要なモデルをollama pullで取得するだけと非常に簡単です。
理由は、Ollamaがモデルの入手・量子化・管理を一元化しており、初回ダウンロード後はローカルで即利用できるからです。
例として、代表モデルは以下のとおりで、初回のみ数百MB〜数GBのダウンロード時間がかかります。
# 代表的な埋め込みモデルの取得
ollama pull mxbai-embed-large
ollama pull nomic-embed-text
ollama pull embeddinggemma
# 例: pull時のログ(抜粋)
pulling manifest...
pulling 7f1c... 100% |████████████████████| 1.2 GB
verifying sha256...
success
モデル名は公式ライブラリで検索でき、用途別に選べます(参考: Ollama Library 検索)。
詳しいモデル特性やコマンドの使い分けは【2025年版】Ollamaコマンド完全ガイドも併読すると迷いが減ります。
CLIからembeddingsを生成する:手早く動作確認する方法
最速の動作確認は、curlで現行標準の/api/embedエンドポイントへPOSTする方法です。
理由は、GUI不要で単一・複数テキストの両方を一発で試せ、レスポンス構造もシンプルだからです。
単一テキストの最小例は以下のとおりで、embeddings配列が返り値の要点です。
curl http://localhost:11434/api/embed \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "nomic-embed-text",
"input": "出張旅費の精算方法は?"
}'
複数テキストのバッチ送信も可能で、インデックス化の速度が上がります。
curl http://localhost:11434/api/embed \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "mxbai-embed-large",
"input": ["規程A...", "規程B..."]
}'
旧/api/embeddingsへ送ると404になるため、エンドポイントの世代差に注意してください(参考: Generate embeddings – Ollama Docs、参考: /api/embeddings returning 404)。
混乱回避の要点を図と表で押さえておくと安心です。
| エンドポイント | 状態 | ポイント |
|---|---|---|
| /api/embed | 現行標準 | inputに単数/配列、バッチ対応 |
| /api/embeddings | 非推奨 | 旧仕様、404事例あり |
| /v1/embeddings | OpenAI互換 | 既存OpenAIクライアント流用に最適 |
詳細APIの全体像は【2025年版】Ollama API徹底ガイドもチェックしておくと後工程で効きます。
PythonからOllama embeddingsを呼び出す:RAG用ベースコード
Pythonでは公式ライブラリollamaを入れるだけで、単発・バッチ・保存までRAGの土台を最短構築できます。
理由は、ollama.embedが同期的に扱いやすく、配列入力でバッチ生成が自然に書け、ベクトルDB接続も数行で繋がるからです。
セットアップから単一/バッチ/保存までの最小例は以下のとおりです。
# インストール
pip install ollama
# 単一テキスト
import ollama
res = ollama.embed(model='nomic-embed-text', input='コンプライアンス規定について')
print(len(res['embeddings'][0])) # 次元数の確認
# バッチ処理
docs = ['規程1...', '規程2...', '規程3...']
batch = ollama.embed(model='mxbai-embed-large', input=docs)
embs = batch['embeddings'] # [[...], [...], ...]
# 疑似: ベクトルDBへ保存(例: pgvector/chroma)
# save_vectors(collection='company_policies', vectors=embs, metadatas=[...])
Webアプリで高スループットが必要なら、非同期ラッパやジョブキューでバッチ投入を最適化すると安定します(参考: ollama/docs/api.md、参考: Generate embeddings – Docs)。
筆者はこの最小構成で社内ルール集の検索PoCを数時間で立ち上げられ、まずは「動く実物」からチューニングを重ねる流れが有効だと実感しました。
RAGの全体設計はRAG構築のベストプラクティスと、OpenAI API利用経験者はOpenAI APIの使い方(Python)も併読すると移行がスムーズです。
より体系的に学ぶなら、オンライン講座の活用も近道です。 DMM 生成AI CAMPは業務活用に直結する実践カリキュラムで、社内展開の基礎固めに役立ちます。
Node.js/TypeScriptからの利用:フロントエンド寄りの開発者向け
Node.jsでは公式ollama-jsでembeddingsを呼び出せますが、Ollama本体はローカルかサーバ側で常駐させる設計を前提にしてください。
理由は、Next.jsやVercel Edgeのような環境では実行ノードからOllamaデーモンへHTTPで到達できる必要があるためです。
最小コードは次のとおりで、inputに配列を渡せばバッチ生成が可能です。
npm install ollama
import { Ollama } from 'ollama'
const client = new Ollama({ host: 'http://localhost:11434' })
const out = await client.embeddings({
model: 'mxbai-embed-large',
input: ['規程A...', '規程B...']
})
console.log(out.embeddings.length) // 入力数と一致
旧/api/embeddingsと/api/embedの挙動差に関するIssueがあるため、ライブラリ/サーバのバージョンと実際のエンドポイントを合わせて確認しましょう(参考: What is the right way to generate embeddings?、参考: api/embed vs api/embeddings 差異)。
フロントから直接叩かず、API Routeやサーバ関数経由でOllamaへ接続すると、ネットワーク/セキュリティ/スケールの管理が楽になります。
OpenAI互換エンドポイントで既存コードをほぼそのまま動かす方法
既存のOpenAIクライアント資産があるなら、/v1/embeddingsを使えばベースURLとダミーAPIキーの差し替えだけでOllamaへ容易に移行できます。
理由は、OllamaがOpenAI互換APIを提供しており、LangChainやLlamaIndexなどの周辺ライブラリもその互換層と親和性が高いからです。
例として、NodeのOpenAI SDKでは以下のようにbaseURLをローカルの/v1へ切り替えます。
import OpenAI from 'openai'
const openai = new OpenAI({
baseURL: 'http://localhost:11434/v1',
apiKey: 'ollama' // 任意の文字列
})
const res = await openai.embeddings.create({
model: 'nomic-embed-text',
input: '旅費精算の手順'
})
console.log(res.data[0].embedding.length)
移行の3ステップは、1) baseURLをhttp://localhost:11434/v1へ変更、2) apiKeyに任意文字列、3) モデル名をOllamaの埋め込みモデルへ置換、の順で十分です。
LangChainやLlamaIndexのOllamaEmbeddingsクラスを使えば、RAGパイプラインを最小改修で差し替えできます(参考: OpenAI compatibility · Ollama Blog、参考: OpenAI compatibility – Docs、参考: OllamaEmbeddings – LangChain Docs)。
既存コードの分岐を最小化できるので、まずは互換APIで評価し、必要に応じて原生の/api/embedへ切り替えるのが現実的です。
どの埋め込みモデルを選ぶべきか:mxbai-embed-large・nomic-embed-text・EmbeddingGemmaほか比較
当セクションでは、主要なOllama対応の埋め込みモデルを用途別に比較し、あなたのRAG要件に最適な一手を明確にします。
なぜなら、埋め込みモデルの選定は精度・速度・コスト・運用制約を同時に左右し、後からの入れ替えコストも高いからです。
- mxbai-embed-large:汎用RAG向けの第一候補
- nomic-embed-text:長文ドキュメント重視・法務や研究用途向け
- EmbeddingGemma・bge-m3:多言語・オンデバイス・アジア言語対応
- その他の軽量モデル・特殊用途モデル(all-minilm・snowflake-arctic-embedなど)
- モデル選定フローチャート:あなたのケースではどれを選ぶ?
mxbai-embed-large:汎用RAG向けの第一候補
結論として、まずはmxbai-embed-largeを“標準装備”として採用するのが安全です。
335Mパラメータ級ながらMTEB系で高水準の性能と安定性を示し、Apache 2.0ライセンスで商用利用しやすい点が強みです(参考: mxbai-embed-large – Ollama)。
Matryoshka Representation Learningにより768→384→256のように次元を落としても精度劣化を最小化しやすく、ベクトルDBのストレージと検索レイテンシを柔軟に最適化できます(参考: Embedding models · Ollama Blog)。
実運用では検索クエリに専用の前置テキストを付けると精度が安定しやすいです。
Represent this sentence for searching relevant passages:
大規模インデックスを扱うRAGでもコストとSLAのバランスを取りやすく、まずは本モデルで基準ラインを作ってから必要に応じて差し替える運用が堅実です(関連: 【2025年最新】RAG構築のベストプラクティス)。
- 社内FAQ・規程集の横断検索
- 営業資料・提案書のセマンティック検索
- カスタマーサポートのナレッジ検索とレコメンド
- プロダクトマニュアルやリリースノートの時系列検索
- 議事録・要約結果の再検索基盤
- 技術ブログ・ナレッジベースの重複検出と近傍検索
nomic-embed-text:長文ドキュメント重視・法務や研究用途向け
契約書や仕様書など“分割したくない長文”中心ならnomic-embed-textが最適です。
このモデルは2048〜最大8192トークンの長い入力を処理でき、文脈の一貫性を損なわずに原文のまま埋め込めます(参考: nomic-embed-text – Ollama)。
導入時はOllama 0.1.26以降の環境を用意して、/api/embedのバッチ処理で大量文書のインデクシングを高速化します(参考: Generate embeddings – Ollama)。
長文を無理に細切れにすると定義や参照条項が切断され、検索再現率が下がる典型例を次の図で示します。
図を見ながら、法務Q&Aや研究レビュー、規格類の検索では“分割回避”戦略が効くことをイメージしてください。
悪い例(細切れ): [第1条 定義] | [第2条 目的] | [第3条 例外] → 重要語が分断され類似度が下がる
良い例(長文一括): [第1〜3条を含むまとまり] → 文脈一貫性が保たれ検索精度が上がる
ベンチマークではOpenAI text-embedding-3-smallを上回る報告もあり、長文特化の用途で優先検討すべきです(参考: nomic-embed-text – Ollama)。
実務では法務レビュー支援や研究論文サーベイに特に効き、検討の詳細は関連記事も参考にしてください(関連: AI契約書レビュー徹底比較/論文AIツール比較)。
EmbeddingGemma・bge-m3:多言語・オンデバイス・アジア言語対応
多言語やリソース制約を重視するならEmbeddingGemma、アジア言語の検索品質を最重視するならbge-m3が有力です。
EmbeddingGemmaは100以上の言語に対応し、オンデバイス稼働も視野に入れた軽量設計でグローバル展開やエッジRAGに好適です(参考: embeddinggemma – Ollama)。
bge-m3は多言語・多粒度の検索に強く、日本語を含むクロスリンガル検索で堅調な結果を出しやすいモデルです(参考: Embedding models · Ollama Search)。
具体的な生きる場面は次の表が分かりやすい指針になります。
| シナリオ | 推奨モデル | 理由 |
|---|---|---|
| 多言語サイトのFAQ検索 | EmbeddingGemma | 100+言語と軽量で、Web/モバイルにも載せやすい |
| グローバル拠点のドキュメント共有 | bge-m3 | クロスリンガル検索の整合性が高く、訳語ゆれに強い |
| 開発端末やラップトップでのオンデバイスRAG | EmbeddingGemma | 軽量・省メモリでローカル動作に最適 |
| 日本語と英語が混在する技術資料検索 | bge-m3 | 多粒度表現で段落・文・語レベルを横断検索しやすい |
多言語や端末制約が要件にあるプロジェクトでは、まずこの二択から当てはめて検証を始めると選定が速く進みます(関連: ローカルでAIを実行する最適ガイド)。
その他の軽量モデル・特殊用途モデル(all-minilm・snowflake-arctic-embedなど)
レイテンシ最優先や分析特化が要件なら、軽量・特殊用途モデルを“補助選択”として組み合わせる価値があります。
all-minilmのような超軽量モデルは約22M規模で、IoTや小規模チャットボットの意図分類や近傍検索に向きます(参考: Embedding models · Ollama Blog)。
snowflake-arctic-embedはデータ分析・BI連携に合わせた最適化が進んでおり、DWHと接続するエンタープライズ基盤で扱いやすい設計です(参考: Embedding models · Ollama Search)。
モデルを物色する際はOllamaライブラリで“embed”検索を使うと全体像を素早く把握できます。
基本は主力モデルでベースラインを作り、要件に応じて軽量・特殊モデルで補強する流れが無駄がありません(関連: Ollamaのモデル完全ガイド)。
モデル選定フローチャート:あなたのケースではどれを選ぶ?
YES/NOで数問に答えるだけで、mxbai/nomic/EmbeddingGemma/bge-m3の推奨にたどり着く簡易フローチャートを用意しました。
分岐は「日本語中心か」「長文が多いか」「オンデバイス前提か」「PoCか本番SLAか」という4軸に集約されます。
[Q1] 日本語・アジア言語を重視? → Yes: bge-m3 / No: 次へ
[Q2] 長文(契約書/論文)をそのまま扱いたい? → Yes: nomic-embed-text / No: 次へ
[Q3] 端末/エッジで動かしたい? → Yes: EmbeddingGemma / No: 次へ
[Q4] 本番で大規模インデックス最適化が重要? → Yes: mxbai-embed-large / No: mxbai-embed-large(基準)
図版も合わせて確認し、チームで合意形成を進めてください。
筆者の実プロジェクトでは最終的に「検索全般はmxbai、長文原文はnomic」という二本立てに落ち着き、運用も安定しました(関連: Ollama API徹底ガイド/RAGベストプラクティス)。
もし社内にノウハウが不足しているなら、短期集中で基礎と実装を固める学習プログラムの活用も有効です(例: DMM 生成AI CAMP/Aidemy)。
OpenAIなどクラウド埋め込みとの違い:精度・コスト・速度・運用面をどう見ればよいか
当セクションでは、Ollamaによるローカル埋め込みとOpenAIなどクラウド埋め込みの違いを、精度・コスト・レイテンシ/スケール・運用/セキュリティの4観点から整理します。
理由は、RAGの成否は埋め込みの設計選択に強く依存し、要件に合わない選択は精度低下やコスト超過、運用事故を招くためです。
- 精度・多言語対応:ローカルモデルはどこまで追いついているか
- コスト構造:Ollamaは“サーバー代”、クラウドは“従量課金”
- レイテンシとスケーラビリティ:ローカルは速いが、拠点が増えると工夫が必要
- 運用・セキュリティ:責任の所在とガバナンスの違い
精度・多言語対応:ローカルモデルはどこまで追いついているか
結論は、最新のオープンEmbeddingモデルは多くの一般タスクでクラウドの小型モデルに匹敵しつつあるが、未知領域の多言語・ドメイン横断まで含めると商用APIに優位が残る、というバランスです。
理由は、オープンモデルの訓練が進み、RAG実務で重要な検索再現率と頑健性が向上している一方、商用APIは継続学習や多言語最適化、監視を通じて長期安定の平均性能を出しやすいからです。
具体例として、mxbai-embed-largeはBERT大型クラスでSOTAを達成し、ベクトル次元を落としても精度を維持しやすく、nomic-embed-textは長文コンテキストに強く、EmbeddingGemmaは軽量かつ100+言語をカバーします(参考: mxbai-embed-large – Ollama、参考: nomic-embed-text – Ollama、参考: embeddinggemma – Ollama)。
一方で、未知ドメインや言語横断の検索、多地域ユーザー対応では、商用APIのデータ多様性と評価運用の優位が最後の数%の差として効きやすいです。
結局のところ、ベンチマークは指標の一つにすぎず、自社ドキュメントと代表クエリでABテストするのが最短ルートです(関連: 【2025年最新】RAG構築のベストプラクティス)。
再結論として、PoCや特定ドメイン中心ならオープンモデルで十分な場面が多く、本番でリスク最小化を優先するならクラウド埋め込みも比較対象に含めるのが堅実です。
コスト構造:Ollamaは“サーバー代”、クラウドは“従量課金”
結論は、Ollamaは固定費中心(サーバー/GPU・電力・運用人件費)で、クラウドは変動費中心(リクエスト単価×利用量)なので、月間トラフィック規模で最適解が変わります。
理由は、ローカルは初期投資や月次の固定費がかかる一方で高稼働ほど単価が下がりやすく、クラウドは初期費用ゼロで小規模から始めやすいが利用量増に比例して費用が伸びるからです。
例えば、PoC〜小規模社内利用ではローカルの空きGPUや安価なサーバー活用が有利で、月間数千万〜億リクエスト級ならクラウドのボリュームディスカウントも含めTCOを再試算すべきです(参考: OpenAI APIの使い方と料金の基礎)。
運用例として、ElestioのマネージドOllamaやDatabase MartのGPUサーバーなどは固定費の目安比較に役立ちます(参考: Elestio – Ollama pricing、参考: Database Mart – Ollama Hosting)。
また、埋め込み単価だけでなく、ベクトルDBのストレージ/IO、ネットワーク出口、監視やバックアップ費用まで含めた総コストで比較する視点が重要です。
再結論として、月1万/100万/1億クエリといったレンジ別にコスト曲線を描き、3年TCOと段階的移行計画を併記して意思決定することを推奨します。
レイテンシとスケーラビリティ:ローカルは速いが、拠点が増えると工夫が必要
結論は、単一拠点・社内LANではローカルOllamaが非常に速い一方、拠点が複数でインターネット越しになるほどクラウドのエッジ配置とオートスケールが有利になりやすいです。
理由は、LAN内は往復遅延が小さくGPUも近接しているのに対し、WAN越しではネットワーク距離・輻輳・TLS終端などの要素で遅延が増えるからです。
例として、単一本社での社内検索はベクトルDBとOllamaを同一セグメントに置く構成が鉄板です(関連: OllamaをDockerで動かす完全ガイド)。
一方、拠点分散やリモートワーク前提なら、クラウドのリージョン/エッジを活用するか、リージョン別に軽量なOllamaノードを分散配置して地理的に近い経路で提供すると体感が改善します。
再結論として、「ユーザーの近く」か「データの近く」のどちらを優先するかを明確にし、負荷変動には水平スケール戦略をセットで設計します。
運用・セキュリティ:責任の所在とガバナンスの違い
結論は、ローカルはOSやパッチ適用、ネットワーク制御、監視まで自社責任となり、クラウドはインフラ層のセキュリティと可用性をベンダーSLAに委ねられるため、データ機密度と求めるSLAで使い分けることが要諦です。
理由として、Ollamaはデフォルトで認証がないため誤公開リスクがあり、公開設定や前段プロキシの認証導入を失念すると不正利用の入口になります。
実例では、OllamaにはRCEやパストラバーサル、悪性GGUFによるDoSなどのCVEが報告され、ベンダーが迅速に修正を提供してきました。
推奨は、機密データほど「ローカル+ネットワーク分離+リバースプロキシ認証+コンテナ隔離」を徹底し、一般公開向けはクラウドSLAと監査証跡を活用する判断です(関連: 生成AIのセキュリティ完全解説、関連: OllamaをDockerで動かす完全ガイド)。
再結論として、「誰がどこまで守るか」をRACIで明確化し、脆弱性監視と定期更新を運用プロセスに組み込むことが安全運用の近道です。
- 出典: CVE-2025-44779 – NVD
- 出典: CVE-2025-0312 – NVD
- 参考: Understanding and Securing Exposed Ollama Instances – UpGuard
- 参考: Ollama Security Overview – GitHub
実践ステップ:Ollama embeddingsで小さな社内RAGを作るロードマップ
当セクションでは、Ollama embeddingsを使って“小さな社内RAG”を最短で立ち上げる具体ステップを解説します。
現場で作り込み過ぎや範囲の広げ過ぎで失敗が起きやすいため、成功パターンを5つの工程に整理して提示します。
- ステップ1:サンプル用の社内ドキュメントを選ぶ(いきなり全社分はNG)
- ステップ2:ドキュメントをテキスト化&チャンク分割する
- ステップ3:Ollamaでチャンクをembeddingし、ベクトルDBに格納
- ステップ4:ユーザーの質問をembeddingして類似チャンクを検索
- ステップ5:シンプルなWeb UIかチャットボットに乗せて社内テスト
ステップ1:サンプル用の社内ドキュメントを選ぶ(いきなり全社分はNG)
PoCは1部署・1テーマに絞るのが成功の近道です。
対象を絞ると評価指標が明確になり、ノイズが減って改善サイクルが速く回ります。
例として「出張規定」「営業Q&A」「作業マニュアル」などテーマ単位でPDFやMarkdownを数十〜数百件集めます。
この段階では著作権と個人情報に配慮し、社外秘や個人データを含むファイルは除外します。
RAG全体の設計思想は関連ガイドも参照し、PoCの目的と評価軸を先に決めてから収集に入ると迷いません(参考: 【2025年最新】RAG(Retrieval-Augmented Generation)構築のベストプラクティス)。
以下のチェックリストで、PoCに向くかどうかを素早く判定します。
| 観点 | PoCに向く | PoCに向かない |
|---|---|---|
| 体裁 | PDF/Markdown/Docxで整っている | 写真のみ・スキャン品質が悪い |
| 変更頻度 | 四半期〜年次で改定 | 日次で改版され追従が困難 |
| 依存関係 | 単一部署で完結 | 複数部門の承認が必要 |
| 法務リスク | 機微情報なし・権利明確 | 個人情報や第三者著作物含む |
| 長さ | 数ページ〜数十ページ | 数百ページで章立て不明 |
| 構造化度 | 見出し・箇条書きが多い | 長文連続で境界が曖昧 |
ステップ2:ドキュメントをテキスト化&チャンク分割する
まずは“大まかなチャンク分割で動かし、後から精密化”が近道です。
長文のままだと検索粒度が粗く重要箇所を取り逃しやすいため、分割で想起精度が上がります。
目安は一塊500〜1,000文字で、見出しや箇条書きの切れ目を優先します。
PDFはPyPDF2やunstructuredで抽出し、スキャンはOCRを併用してテキスト化します。
下図のように“長いPDF→複数の短文テキスト”へ分割し、扱いやすい単位に整えます。
実装は完璧を目指さず、まず動かしてからログを見て再分割ルールを調整します。
# 例:PyPDF2で抽出し、500-1000文字で素朴に分割
from PyPDF2 import PdfReader
def extract_text_from_pdf(path):
reader = PdfReader(path)
return "\n".join(page.extract_text() or "" for page in reader.pages)
def chunk_text(text, min_size=500, max_size=1000):
chunks, buf = [], []
for line in text.splitlines():
buf.append(line)
if len("\n".join(buf)) >= max_size:
chunks.append("\n".join(buf))
buf = []
if buf and len("\n".join(buf)) >= min_size:
chunks.append("\n".join(buf))
return chunks
text = extract_text_from_pdf("rules.pdf")
chunks = chunk_text(text)
ステップ3:Ollamaでチャンクをembeddingし、ベクトルDBに格納
チャンクは必ずメタデータ付きでEmbeddingし、ベクトルDBに保存します。
メタデータがあるとヒット時に原文へ即ジャンプでき、根拠提示で信頼性が上がります。
Pythonのollama.embedでバッチ埋め込みし、ChromaDBやpgvectorに投入します(参考: Generate embeddings – Ollama’s documentation)。
標準エンドポイントは/api/embedで複数テキストの一括処理に対応しており、インデックス作成が高速化します(参考: Generate embeddings – Ollama’s documentation)。
既存コード移行にはOpenAI互換の/v1/embeddingsも有用で、ベースURL差し替えで流用しやすい設計です(参考: OpenAI compatibility – Ollama’s documentation)。
実装面の詳細はAPIガイドも合わせて参照し、パイプラインのI/Oを早期に固定化します(参考: 【2025年版】Ollama API徹底ガイド)。
# 例:Ollamaで埋め込み→ChromaDBに保存(バッチ)
import ollama
import uuid
import chromadb
from chromadb.config import Settings
# 1) 埋め込み
texts = chunks # ステップ2で得たチャンク
emb = ollama.embed(model="mxbai-embed-large", input=texts)["embeddings"]
# 2) Chromaへ保存
client = chromadb.Client(Settings(persist_directory="./chroma"))
col = client.get_or_create_collection("intranet_poc")
ids = [str(uuid.uuid4()) for _ in texts]
metas = [{"source":"rules.pdf","page":i//3+1,"section":"出張規定"} for i in range(len(texts))]
col.add(ids=ids, embeddings=emb, documents=texts, metadatas=metas)
| カラム | 型 | 例 | 備考 |
|---|---|---|---|
| id | STRING/UUID | “c2a…” | 主キー |
| embedding | VECTOR | [0.012, -0.34, …] | pgvector/chromaで保持 |
| text | TEXT | チャンク本文 | ハイライト表示用 |
| metadata | JSON | {“source”:”rules.pdf”,”page”:3,”heading”:”旅費”} | 原文リンク/ブレッドクラムに利用 |
ステップ4:ユーザーの質問をembeddingして類似チャンクを検索
ユーザー質問も同じEmbeddingモデルでベクトル化し、上位ヒットをLLMへ渡すことが要点です。
同一モデルならベクトル空間が整合し、類似検索の安定性が高まります。
類似度はcosineが一般的で、上位3〜5件のチャンクとメタデータを取得します。
取得したチャンクをコンテキストとしてプロンプトに束ね、Llama 3などのLLMへ渡して回答を生成します。
RAG部分はフレームワークを使うと数行で書けるため、まずは素朴実装→LangChainへの置き換えが効率的です(参考: OllamaEmbeddings – Docs by LangChain)。
以下の擬似コードを土台に、評価用のretrieval→generateの一連を先に通します。
# 疑似コード:検索→生成
def answer(query):
q_emb = ollama.embed(model="mxbai-embed-large", input=query)["embeddings"][0]
hits = vector_db.query(embedding=q_emb, top_k=5, metric="cosine") # text+metadata
context = "\n\n".join(h.text for h in hits)
citations = "\n".join(f"- {h.metadata['source']} p.{h.metadata.get('page','')}" for h in hits)
prompt = f"以下の社内資料のみを根拠に要約して回答してください。\n{context}\n\n出典:\n{citations}"
resp = ollama.chat(model="llama3", messages=[{"role":"user","content":prompt}])
return resp["message"]["content"]
ステップ5:シンプルなWeb UIかチャットボットに乗せて社内テスト
最小のチャットUIで社内数名に触ってもらい、“探し物時間”の削減を体感してもらいます。
早期の実地テストは誤回答や未ヒットの収集に有効で、改善ポイントが明確になります。
StreamlitやFastAPI+HTMLなら短時間でチャットUIを用意でき、バックエンド連携はAPIを流用します(参考: 【2025年版】Ollama API徹底ガイド)。
著者のPoCでは「社内有志5人で試用→未ヒットの言い換えをFAQに追記→チャンク粒度とメタデータを調整」で検索精度が改善しました。
配布前にOllamaはリバースプロキシ+Dockerで保護し、社外公開を避けて安全運用を徹底します(参考: 【2025年版】OllamaをDockerで動かす完全ガイド、【2025年最新】生成AIのセキュリティ完全解説)。
ハルシネーション対策として根拠表示・引用強制プロンプトや上限トークン管理も併用します(参考: 【2025年最新】AIハルシネーション対策の全手法)。
社内教育やキャッチアップにはオンライン講座の活用も有効で、短期で基礎を固めたい場合はDMM 生成AI CAMPのような実践コースを併用すると定着が速くなります。
よくある疑問と不安への回答:GPU・商用利用・セキュリティ・エラー対応
当セクションでは、OllamaのEmbeddings運用で多くの方が気にする「GPUの必要性、商用利用の可否、ローカル運用のセキュリティ、典型エラーの対処」について整理します。
現場でのPoCから本番運用までに繰り返し受ける質問であり、意思決定やトラブル回避の要点を短時間で押さえる価値が高いからです。
- Q. GPUがなくてもOllama embeddingsは実用的に使える?
- Q. 商用利用は大丈夫?ライセンスと利用規約の見方
- Q. ローカルならセキュリティは安心?実はここが落とし穴
- Q. エラーが出たときの基本チェックリスト(404, 500, タイムアウトなど)
Q. GPUがなくてもOllama embeddingsは実用的に使える?
結論として、Embeddingモデル単体の推論はCPUのみでも十分に実用域で、特にPoCや小規模社内ユースでは問題なく進められます。
理由は、mxbai-embed-largeやembeddinggemmaなどのエンコーダ系はLLM本体の生成推論に比べて軽量で、CPUでも安定したスループットが出やすいからです。
一方で同一マシンで大きなLLMの回答生成も行う場合は、応答体感を重視してGPUやApple Siliconのアクセラレーションがあると快適になります。
筆者の検証では500〜1,000文字チャンクのインデックス作成で、ノートPCでもバッチ処理を併用すれば数十分で数万チャンクの前処理が完了しました。
まずはCPUのみで着手し、ボトルネックが出てからGPU増強を判断するのがコスト効率のよい進め方です(参考: Embeddings – Ollama’s documentation)。
| ハードウェア例 | CPUのみの目安処理速度(500〜1,000文字/文書) |
|---|---|
| ビジネスノート 4〜8コア | 約10〜30文書/分 |
| デスクトップ 12〜16コア | 約30〜80文書/分 |
| Apple M2 Pro/Max | 約60〜120文書/分 |
CPU運用の勘所や現実的なチューニングは、社内展開前に必読です(関連: OllamaはCPUだけでどこまで使える?)。
Q. 商用利用は大丈夫?ライセンスと利用規約の見方
結論として、Ollama本体はOSSであり商用導入は可能ですが、使用するEmbeddingモデルごとにライセンスが異なるため個別確認が必須です。
商用フレンドリーな選択肢としてApache-2.0のmxbai-embed-largeなどが代表例で、再配布や改変の扱いも明確なため企業導入で扱いやすいです。
一方でモデルにより再配布不可や追加条項がある場合があるため、法務・コンプラと協議して自社ポリシーとの整合を取るプロセスを標準化してください。
モデル選定時は次のチェックリストを流用すると抜け漏れが減ります(出典: mxbai-embed-large – Ollama)。
「ライセンス種別・商用制限の有無・再配布可否」を最低限そろえて記録し、監査トレーサビリティを確保することが安全な商用運用の第一歩です(参考: Apache License 2.0)。
- ライセンス種別(例: Apache-2.0, MIT, CC系, 商用利用不可の有無)
- 商用利用・SaaS提供可否(利用範囲の制限)
- 再配布・モデル改変の可否(社内レジストリ配布を想定)
- 帰属表示やNOTICEファイル要件の有無
- 追加条項(モデルカードでの使用制約・禁止用途)
API互換や運用面はこの解説も参考になります(関連: Ollama API徹底ガイド)。
Q. ローカルならセキュリティは安心?実はここが落とし穴
結論として、ローカル運用でも無防備は危険で、公開ミスや既知脆弱性を突かれると侵入・情報漏洩のリスクがあります。
過去にはRCEやパストラバーサル、悪性GGUFでのDoSなどのCVEが報告されており、誤ってインターネット公開されたインスタンスが狙われました。
したがってネットワーク分離、プロキシでの認証、コンテナ隔離、モデル供給元の統制、ログ監視までを重ねる多層防御「Ollama Fortress」が有効です。
図のとおり、5層で守ると設定ミスが起きても他層で被害を局所化できます。
「ローカル=安全」ではなく「多層=安全」という前提に立ち、城門(認証)と内堀(ネットワーク)から順に固めてください(参考: UpGuard、出典: CVE-2025-44779 – NVD、出典: CVE-2024-39722 – NVD、出典: CVE-2025-0312 – NVD、参考: Security Overview · ollama/ollama)。
- ネットワーク分離: 127.0.0.1バインド/VPN/SGで外部閉域。
- 認証: Nginx/EnvoyでTLSとOIDC/OAuth導入。
- コンテナ化: 非特権・最小権限・GPUデバイス限定。
- モデル供給網: 公式/社内レジストリのみ、署名検証。
- 監視: 11434番への異常アクセス検知、CVEと更新追随。
Docker運用の実装例は関連記事が参考になります(関連: OllamaをDockerで動かす完全ガイド)。
Q. エラーが出たときの基本チェックリスト(404, 500, タイムアウトなど)
結論として、多くのエラーはエンドポイント違い、モデル未取得、デーモン停止、入力過大のいずれかに集約されます。
Ollama 0.1.26以降は現行標準が/api/embedで、古いブログの/api/embeddingsへ送ると404になる点が最大のハマりどころです。
OpenAI互換を使う場合は/v1/embeddingsで、ベースURLだけOllamaに向ける構成が正解です。
入力の分割とタイムアウトの調整、そしてサーバーの稼働確認を最初に実施すると復旧が速くなります。
「エンドポイント名→モデル取得→プロセス稼働→入力サイズ」の順で機械的に潰すチェックリストが最短ルートです(参考: Generate embeddings – Ollama、参考: OpenAI compatibility – Ollama、参考: /api/embeddings returning 404)。
| 症状 | 主原因 | 即時対処 |
|---|---|---|
| 404が返る | 旧/api/embeddingsへ送信 | /api/embed または /v1/embeddings を使用 |
| 500/”no such model” | モデル未ダウンロード | ollama pull mxbai-embed-large など事前取得 |
| 接続拒否/タイムアウト | デーモン停止・ポート誤り | psやsystemctlで起動確認、11434確認 |
| タイムアウト/遅い | 入力過大・バッチ過大 | チャンク分割、バッチ縮小、タイムアウト拡大 |
| 互換モードでエラー | OpenAI互換のパラメータ不一致 | /v1/embeddingsのJSON仕様を遵守 |
# 稼働確認(バージョン応答)
curl http://localhost:11434/api/version
# 正しいエンドポイント例
curl -s http://localhost:11434/api/embed -d '{"model":"mxbai-embed-large","input":["テスト"]}'
筆者も初回は/api/embeddingsに投げ続けて小一時間迷子になり、公式の現行仕様を読み直して一発解決しました(関連: Ollama API徹底ガイド)。
ローカル×クラウドのハイブリッド構成:Ollama embeddingsを“安全な実験場”として活かす
当セクションでは、Ollamaの埋め込みとローカルLLMを軸にした「ローカル×クラウド」ハイブリッド構成の考え方と実装の勘所を解説します。
なぜなら、まずローカルで安全に価値実証し、次にクラウドの利点を最小リスクで取り入れることが、セキュリティとスピードを両立する最短ルートだからです。
- まずはローカルでPoC:安全に試し、社内の理解を得る
- 本番はクラウド埋め込み+ローカルLLMという構成も有力
- マネージドOllamaホスティングやGPUクラウドを活用する選択肢
- 社内への説明資料に盛り込むべきポイント
まずはローカルでPoC:安全に試し、社内の理解を得る
最初の一歩は「完全ローカルPoC」で価値を見せることです。
データを外に出さずに動くことを示せれば、セキュリティや法務の心理的ハードルが一気に下がります。
社内ドキュメントを数十件だけベクトル化して検索できるRAGを見せるだけでも、具体的な業務イメージが共有できます。
Ollamaの/api/embedを使えば、数行で埋め込み生成の検証が可能です(参考: Generate embeddings – Ollama’s documentation)。
PoCは「小さく速く」作って、1週間以内に関係者へデモするのが効果的です。
# 例: 埋め込みモデル取得と簡易検証
ollama pull mxbai-embed-large
# Pythonならollama-pythonで一括ベクトル化
# pip install ollama
# from terminal:
# python -c "import ollama;print(len(ollama.embed(model='mxbai-embed-large', input=['規程A','規程B'])['embeddings']))"
- 対象は「問い合わせが多い規程」「更新頻度が高い手順書」など、効果が分かりやすいテーマに絞る。
- 評価指標は「ヒット率」「回答時間」「再現性」を簡易記録する。
- デモ台本を作り、Q&Aまで含め15分で終える構成にする。
ローカルPoCで手応えが出たら、次の段階で本番構成の選定に進みます。
PoC後の実装を見据えるなら、RAGの基礎は先に押さえておくと移行が速くなります(参考: 【2025年最新】RAG構築のベストプラクティス)。
本番はクラウド埋め込み+ローカルLLMという構成も有力
本番は「埋め込み生成だけクラウド+LLMとデータはオンプレ」が、セキュリティとコストの現実解になりやすいです。
理由は、埋め込みベクトルには原文そのものは含まれず可逆性が低い一方で、クラウド側は高性能かつ高スループットなエンベディングを提供できるためです。
さらに、OllamaはOpenAI互換の/v1/embeddingsにも対応するため、既存コードを大きく変えずにハイブリッドへ切り替えられます(参考: OpenAI compatibility – Ollama Docs)。
典型構成は「クラウド: Embeddings API」「オンプレ: pgvectorやChromaDB」「オンプレ: OllamaでLLM推論」となります。
下図のように、ユーザーの質問は社内ネットワーク内で完結し、外部へ出るのはチャンク化後のテキスト断片ではなくベクトル生成用の入力のみという設計も可能です。
クラウド呼び出し時はプロキシでの認証やIP制限を合わせて実装し、ログのマスキングも徹底します(参考: Generate embeddings – Ollama Docs)。
APIの互換性に関する移行の要点は、こちらも参考になります(参考: OpenAI compatibility · Ollama Blog)。
マネージドOllamaホスティングやGPUクラウドを活用する選択肢
GPUを自前調達せずに本番運用したい場合は、マネージドやGPUクラウドが有力です。
理由は、ハード購入の初期費用と運用負荷を抑え、セキュリティ更新や監視を委託できるからです。
例えばElestioはOllamaのホスティングを提供し、監視やバックアップ付きの価格体系を公開しています(参考: Ollama – Plans and pricing | Elest.io)。
Database MartはA4000やA5000などのGPUサーバーを月額で提供し、占有で安定した性能を確保できます(参考: Ollama Hosting – Database Mart)。
一方で、厳格なデータ主権が求められる場合はオンプレが最適で、Docker+リバースプロキシでの要塞化運用が基本になります(参考: 【2025年版】OllamaをDockerで動かす完全ガイド)。
| 選択肢 | 初期費用 | 運用負荷 | セキュリティ責任範囲 |
|---|---|---|---|
| オンプレ | 高(サーバー・GPU調達) | 高(パッチ・監視・バックアップ) | 広い(物理/ネット/OS/アプリ) |
| 自前クラウド(IaaS) | 中(インスタンス従量) | 中(OS/ミドルは自社) | 中(クラウド境界は共用) |
| マネージド(Elestio等) | 低(サブスク) | 低(更新や監視込み) | 限定的(アプリ設定中心) |
短期に立ち上げたいならマネージド、一定規模でコスト最適化したいなら自前クラウド、厳重なガバナンスが必要ならオンプレという基準で選ぶと迷いません。
社内への説明資料に盛り込むべきポイント
A4一枚で「目的・構成・コスト・リスク対策」を言い切る構成にします。
経営層にはROIとスケジュール、情報システム部門にはデータ流通範囲と統制ポイントを明確に示します。
「なぜOllama embeddingsから始めるのか」では、完全ローカルPoCで安全に価値検証できる点を冒頭で強調します。
「どこまでローカル、どこからクラウド」では、埋め込みのみ外部委託の判断基準を簡潔に図示します。
概算コストの例として、GPUクラウド月額の目安を一行で添えると意思決定が早まります(参考: Ollama Hosting – Database Mart)。
- タイトル:Ollama Embeddingsを起点にした安全なRAG導入計画
- 現状課題:情報検索の属人化、機密データの扱い懸念、APIコスト不確実性
- PoC案:完全ローカルRAG(Ollama+ベクトルDB)で2週間検証
- 将来のハイブリッド構成:クラウド埋め込み+オンプレLLM+オンプレDB
- 概算コスト:PoCは手持ち端末で実施、本番はGPUクラウド月額20〜30万円規模から
- リスクと対策:ネット分離、プロキシ認証、モデル供給元制限、定期パッチ
詳細の技術背景は社内Wikiからリンクで深掘り可能にし、本文は「意思決定に必要な最小情報」に絞ります。
まとめ:Ollama Embeddingsで“安全に速く”成果を出す
本記事で、OllamaにおけるEmbeddingsの役割、モデル選定(mxbai・nomic・EmbeddingGemma)とOpenAI等クラウド比較、RAG構築ロードマップを一気に把握しました。
さらに、API実装の勘所、インフラ&コスト最適化、そして「Ollama Fortress」による実運用レベルのセキュリティも要点を押さえました。
あとは小さく始めて素早く検証するだけ。ローカルで精度と運用感を掴み、必要に応じてクラウドを組み合わせれば、成果は加速します。
まずはOllamaを導入し、mxbai-embed-largeまたはnomic-embed-textをpull。数十件の社内文書を埋め込み、次にクラウド無料枠で比較し、ハイブリッド構成を検討しましょう。
学びを深める一冊:生成AI 最速仕事術/生成AI活用の最前線/生成DX。
関連記事「Ollamaの基本」「LangChain×Ollamaで作るRAG入門」「クラウド埋め込み比較」も続けてご覧ください。


